鬼さん、こちら(3/4)
「マルコ隊長!!おはようございます!」
「朝っぱらからうるせェよい」
「朝からマルコ隊長に会えるなんて嬉しいです!」
昨夜の事がなかったかのような★。
「俺は疲れてんだ。昨夜も寝てねェんだ。キャンキャン吠えるな」
★は一瞬、暗い顔をしてまた笑顔になる。
「私が元気あげましょうか?」
「あーお前からは少し元気を吸い取ったほうがちょうどいいよい」
「つれないなぁー……そんなマルコ隊長も好きです!」
マルコ隊長がいろんな人を相手してきてたってことは知ってたんだ。
今更、目の当たりにしたからって……大丈夫。
大丈夫だよ、へーきだって……
★は必死で自分の中にある、昨日の光景を消していた。
「お前はもうちょっと色気、見につけろい」
色気……
どうしても浮かんでは消える昨夜の2人。
「私だって、色気くらいありますよ」
目を合わせられない。
マルコの顔を見ていない★にはわからない。
マルコの顔がどんどん苛立っている。
「私だってその気になれば、うっふーんな感じで……」
「へぇ」
冷たい声のマルコ。
それには★も驚いてマルコの顔を見た。
怯えてしまう。
「じゃぁ、試してみるか?」
ジリジリと壁際に★を寄せるマルコ。
その顔は無表情で、★はさらに怯えた。
「マルコ隊長……じょ、冗談ばっかり……」
「冗談じゃねェよい、こうされたかったんだろい?」
壁に押し付けられる★。
そのすぐそばにマルコの体。
マルコの手が服の下から★の肌を触る。
「やっ、マルコ隊長!」
「俺の事が好きなんだろい」
好きだ、
私はマルコ隊長が好きだ。
でも……
「やめてください!!!」
さっきまで他の人を触っていた手。
無表情な顔。
明らかに、自分が欲しい愛とは違う。
「怖いかよい?俺が」
「え………?」
「ガキ」
マルコはそう言うと★から離れた。
「怖いならもう近寄るなよい」
そうやって、また逃げる。
★は拳をギュッと握った。
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