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「エース隊長」
「あ?なんだよ★」
「上半身なんで裸なんですか」
「今更だな」
私はエース隊長の上半身を睨む。
いつみても素敵な体……じゃなかった。
「歩く18禁ですよ」
「なんだそりゃ」
じゃぁ見んな、と両手を胸のあたりでクロスさせたエース隊長は萌え死ぬほど可愛い。
でも、隠しきれてない。
「どんだけ吸われてんすか」
「は?」
「夏島でもないのにエース隊長の周りには蚊がたくさんいるんですね」
私はそう言ってエース隊長の鎖骨あたりについているキスマークをバシンと叩いた。
「あー、昨夜は3ピ……」
「言わせるか!」
萌え死ぬほど可愛いと思っていたエース隊長から卑猥な言葉は聞きたくない。
というか……どうでもいい。
何人相手しようが関係ない。
誰かがエース隊長と繋がったと思うだけで死ぬほど苦しいのに。
「私と言うものがありながら全く……」
私がそう言うとエース隊長は大きな掌を頭にのせてきた。
エース隊長はこういう時、決まって切なそうな顔をする。
切ないのは私だ。
なんで?
なんでそんなに泣きそうなの?
私は空いたエース隊長の手をぎゅっと両手で握った。
エース隊長は私の頭をぐちゃぐちゃにすると明るい笑顔に戻っていった。
この想いは……届きますか?
優しく拒絶するエース隊長の背中に私は愛を投げかける。
いつか届くように、と。
「さて、エース隊長の部屋でも掃除しよう、きっとぐちゃぐちゃだ。主にベットが」
今日の清掃は2番隊の仕事。
一隊員である私の仕事を全うしよう。
エース隊長への想いをこめて、どんな事だってしよう。
いつか愛が届くなら、全身で受け止めたい。
女遊びがひどいのも
自由でいたいのも
誰かを好きになるのが
誰かを受け入れるのが
不得意だとわかっていて好きになったのは私だ。
だから、これでいい。
いつか愛が届くなら、いつか……
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