鬼さん、こちら(1/4)
「マルコ隊長!好きです!」
「それより、2番隊は今甲板の掃除だろい。早くしろい」
マルコ隊長はいつも私の告白をなかったことにしてスルーする。
スルーされる事は、もう慣れた、と言ってもいいくらいの回数をこなしているけれど……
でも、やっぱり最初から比べるとだいぶ小さくなったけど、胸のチクンとした痛みは消えてくれない。
だって、本当にマルコ隊長が好きだから。
「マルコ隊長って本当に強いよね。あ、戦闘って意味でも強いけど心もさ、なんていうか懐がでかいっていうか!この間もさ……」
「★、俺それあと何時間聞けばいいんだ?」
マルコに言われた通り甲板の掃除に戻った★は自隊の隊長であるエースにマルコの話をしていた。
もう飽きた、と言わんばかりのエース。
モップに顎をのせやる気ゼロ。
「んー……掃除終わるまで?」
「じゃぁとっとと終わらせようぜ!」
急にやる気になったエースを★は睨みつけ叩いてみるが瞬間エースが火になり
「熱っ!ちょっとエース!!」
他の隊員を巻き込んでの鬼ごっこが始まった。
「おーおー元気がいいねェ」
それを見ていたマルコにサッチは言った。
「あんなによくはしゃげるよい」
「あー、それもうおっさん発言だぜ?」
「元気がいいってのもじゅうぶんおっさん発言だろい」
そりゃそうだ、とサッチが言う。
「こんなおっさんのどこがいいんだかな、★も」
そう言ったサッチにマルコは困った顔をした。
「本当だよい」
「なかなか諦めねェな、あいつも」
「早いとこ見切りつけて見合ったの探してくれねェかねい」
マルコは真顔でそう言った。
本心なのだろう、サッチが今度は困った顔をした。
「……いざ、そうなると寂しかったりして?」
「………ハッ、冗談だろい」
マルコとサッチはまだ走り回るエースと★を見つめた。
prev /
next