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「……やっと見つけたぞ」

「………へ?」

逃げ切ったと思ってた私は後ろの気配にビクっとした。

「逃がすわけねェだろ」

「……なん……で」

「好きな女が泣いてんだ、ほっとけるわけねェ」

あれ、私……泣いてる。

「何もかも違うってなんだよ。おかしいってなんなんだよ」

近づいてくる気配に私は動けずにいた。

「なんで逃げんだよ、なぁ★」

触れられそうになった瞬間、私は振り返って距離をとった。

傷ついた目をしているエース隊長に私は泣きそうになった。

「だ……って……」

傷つけてしまった。

太陽みたいに笑う人を……

それがちょっとでも嬉しいなんて、こんな私……

「エース隊長が、私の事好きだなんて……あるわけないんです」

「なんでだよ」

「だって、私とエース隊長とは……!」

なんで私なんかを好きになるのかもわからない。

なんの面白味もない、引っ込み思案でずっと陰に隠れてる私を、太陽みたいな人が焦がれるなんて……

「最初は!おとなしい奴だなって!宴の時でもおどおどしてるし楽しくねェのかってそう言う意味で気になってた!」

叫ぶみたいに言うエース隊長。

「輪の中に入りゃいいのにって眺めてるだけだったのに、いつの間にか他の奴らとちょこまか動いてて、それ…なんか嫌で」

次第に真っ赤になっていく。

「俺が先に見つけたんだ、って。俺がやってやりたかったんだって思って」

声も次第に弱くなっていく。

「そういや、なんで海賊船なんかにいるんだろ?って思ったりいろいろ考えたらお前の事で頭いっぱいになって」

「エース隊長……」

「俺だってわかんねェよ!気づいたら好きになってた!それだけだ!」

グッと拳を握って近づいてくるエース隊長。

「いつだって一人でなんでもしやがって、俺に頼れよって思う。自信持てよって思う。俺が惚れてんだからそれでいいだろって思う」

そう言われた瞬間私は抱きしめられた。

「お前の事知りてェし、ずっと見てるだけの俺にもいい加減、うんざりしてた」

優しく頭を撫でられて、私は夢でも見てるんじゃないかって思った。

この間の宴の夜の続きを見てるみたいで……

「気づいたらキスしてて、悪かったと思ってるけどとめらんなかったし、正直あのままヤリてェって」

「ヤっ!?ヤリ……!?」

「今でも我慢してんだ!」

そう押し付けられた下半身には、反応しているエース隊長のソレ。

「な、なん……」

「今まで想像でしかなかったのに実際触って匂いもあって、想像よりもすげェいい」

すぅっと、息を吸い込まれて私は途端に赤くなった。

「さっきの言い方だとよ、お前……俺の事嫌いって言うんじゃねェんだよな?」

その声が余りにも弱々しくて、私は思わず優しくエース隊長を抱きしめていた。

「……自信がないんです。エース隊長は太陽だから。私なんか……」

「私なんか、とか言うな。俺は太陽なんかじゃねェ。ただの男だ」

そう言うとエース隊長は私に息もできないくらいのキスをした。

「エース……隊長……」

「お前が嫌だってんならやめる……」

私はそっとキスを返した。


「んっ……ぁっ」

少しずつキスをされながら脱がされる服。

誇れるような体なんてもってなくて急に羞恥心にかられた。

「やっ……」

咄嗟に体をかばう私の腕をエース隊長が掴んだ。

「見せろって……」

「でも……」

「かわいい」

鎖骨あたりをキスされて舐められて力が緩んだ。

その隙をついて私の体はエース隊長にすべてさらけ出してしまった。

「うん・・・キレイ」

「そんなこと……」

「俺がそう思ってんだからいーんだ」

優しく、口づけをされる。

優しく触れられる。

その一つ一つが愛おしくて涙が出た。

だって、夢みたいだ。

「★………いいか?」

顔がこわばるのがわかる。

怖いものは怖い。

でもエース隊長なら……

私は必死で頷いた。

「★……」

急にきた痛みに今までの快感がふっとんだ。

手を握ってくれるエース隊長の力が少し強まる。

「力……抜いて」

「っ……はぁっ」

こっちは必死だ。

抜けって言われても……

そう思って少し目を開けてエース隊長を見ると

そこには、見たこともない男の顔をしたエース隊長がいた。

ふと、私を見るその目が

すごく愛おしくて、私は幸せってこういう感じなんだ、と思った。

エース隊長が動くその度に聞こえる声も

匂いも、感触も、その顔も……

全て愛おしくて、幸せで

私は初めて、物語の主人公になれた気がした。



俺が見つけた愛しい女。
自信がなくて、
自分なんかって思ってて
でも俺にとってはたった一人大切な女。
DearWomen
咲き誇る花であれ。

★、俺の愛した人。

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