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とはいえ、エースには彼女がいる。
どうすればいい?
どうすれば、★が笑顔になる?
「どうしちまったんだ?エース」
エースも★の事が好きだったはずだ。
お互い言わなくてもわかる。
「もしかして……!」
エースの事、ずっと見てきたからわかる。
あいつ……!!
俺はそう思ったらエースんちに向かって走っていた。
「ルフィ……エース、エースいるか!?」
「どうしたんだサボ、そんな慌てて」
「いいから、エース呼んで来い!」
「……サボ?お前どうしたんだよ!」
夜に連絡もなしに走ってきた俺を2人とも心配そうに見ていた。
「エース、ちょっといいか」
「お、おう……」
近所の公園でエースと俺。
エースも何かを感じているのか何も言わない。
俺はもう、覚悟は決めてる。
「エース、俺……★の事が好きだ」
「……っ、」
「でも諦める。高校も進学校で忙しいしよ、会う暇ないだろうし」
黙って聞いてたエースが怒っているようで早口になる。
「お前、★の事頼むな」
その場から去ろうとするとエースに肩を掴まれた。
「おい!何勝手なこと……!」
俺はうまく笑えてただろうか?
そっとエースは肩から手を引いた。
エースのことは俺がよく知っている。
俺に遠慮なんかする奴じゃねェけど、彼女ができたってんならきっと変な気使ってるに違いねェ。
そんなやつじゃないと思ってたけどな……
でも、俺が身を引きゃ、きっと………
「んだよ……」
めでたいことなのに、なんで涙なんかでてくんだよ、ちくしょう。
「おいサボ!」
「エース……」
なんだよ、かっこよく去ってったつもりなのになんで泣いてるとこなんか……!
「俺、とっくの昔に★にフラれてる」
「……は?」
「それはもういい。俺の中で吹っ切れてるし、今は恋愛とかそういうの興味ねェし」
「だって……お前、彼女……」
「彼女?んなもんいねェよ」
頭が混乱してきた。
彼女いねェ?
っつーかフラれてるってなんだよ?
「お前さ、ずっと俺に遠慮してたんだろ?お前みてェに頭よくねェから全然気づかなかった」
「おま……」
「お前がそういうのすげェ考え込むやつだってわかってたけど、鈍感なのは知らなかった」
「は?」
俺が鈍感?
どういう意味だ?
「★にフラれたっつったけど、ハッキリ言われたわけじゃねェ。でもあいつは他の奴見てた、今まで一緒だったもんがあいつのなかで特別になっていった」
頭が真っ白になるってこういうことを言うんだな、なんて考えた。
心臓だけがやたら早くて、頭がおいついていかない。
「でもあいつは4人で一緒に居たいなんて思ってる。そうじゃなきゃダメだって、特別なんてダメだって思ってる」
エースは俺の目を見てニヤリと笑った。
『それ、ぶち壊せよ』
エースの一言に俺もニヤリと笑って見せた。
「サンキューな!」
「おう!」
俺が★の特別はエースだと思ってたのは、俺が★の特別だったからだ。
何言ってるか自分でもわかんねェけど、きっとそう言うことだ。
俺には見せない顔をエースにはしてる。
でもその距離感は、俺を意識してるってことだとしたら……
ぶち壊してやる!
4人で一緒、みんな平等、そんなもん……とっくに壊れてる。
だって、俺は★が特別で、★に特別になって欲しいと思ってる。
ぶち壊せ!
そして、また新しく作っていくんだ!
俺たちの、未来を!
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