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「今日、用事あるから先帰っててくれ」
ここのとこ多いエースの“用事”
「おモテになりますこと」
「無視するわけにもいかねェだろ」
ただでさえスラっとしたスタイルで目を引くのにこの間の体育祭で大活躍だったエースは毎日のように女の子に呼び出されていた。
そのおかげで私もなんだか最近質問攻めによく合う。
「じゃぁ今日は私とサボの2人か・・・」
「サボも今日ダメだったりしてな」
「へ?」
「言っただろ?あいつもこないだ告白されてたって」
サボだって運動神経はいい。
しかも優しい。
頭もいい。
女の子が放っておくわけがない。
「……そうかもね」
「お前さ、いい加減……」
「エースに彼女ができて、サボにもできて……きっとルフィも高校になったらモテモテで……」
「お前なァ……」
「なんで私、女に生まれたんだろ」
ここまで男女関係なく幼馴染をやっていてくれるみんなには感謝してる。
でも、やっぱりどこか寂しくて…
大人になるにつれて、それは大きくなっていく。
「女、とか男とか関係ねェだろ」
「でも彼女ができたら、きっと離れ離れになるんだよ」
「…ハァ、んなことねェよ」
呆れたようにエースは言う。
「お前ももうちょっと素直になれよ」
「え?」
「気づいてんだろ?」
「……知らない」
なんで私、女に生まれたんだろ。
ずっと前からある自分自身の本当の気持ちに私自身がついてけない。
ずっとずっと4人でいれたらそれでいい、それでいいのに……
壊したくないと思えば思うほど、罪悪感が増していく。
「あのなァ……」
「一緒に居たい。なのになんで、こんな……」
「当たり前だろ、ずっと変わらないなんて無理だ」
「エース…」
「でも変わることは悪い事ばっかじゃねェ」
よく考えろ、とエースに言われた。
それでもこのままでいたい、なんて思う私は臆病者だ。
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