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「エースに彼女が出来たんだって?」
そう聞いたのは同じ中学だった高校の同級生から。
「……聞いてねェ」
俺とエースがなかよかったのも知ってるからきっと、俺に真意を確かめたかったんだろう。
でも、俺は聞いてない。
エースには惚れてる女がいるはずだ。
彼女なんて……いや、もしかして★か?
「珍しく★以外の女と一緒に歩いてたから信憑性あると思ってたんだけどな。違うのか!」
★ではないらしい。
でもエースは★を好きなはずだ。
なのに……なんで?
ふと、★の顔が浮かんだ。
会いてェ。
エースを想う★を思い浮かべて俺は胸が締め付けられた。
泣いてるなら、俺が傍にいてやりてェ。
でも、俺にしろ、なんて言えない。
★はそんな女じゃない。
一番よくわかってる。
★のこと、俺が誰より見てきたんだから。
拒否されるなら、いっそ俺の事利用してくれればいいのに。
崩れかけている俺たちの関係を
偽りのまま続けようとしている俺は
ただの臆病者だ。
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