2
「エース!ルフィ!行くぞ!……ったく!★、ちょっと待ってろ!」
「え?あ、うん!」
これがいつもの光景、いつもの朝。
★はサボと一緒にルフィとエースの兄弟を迎えに来ている。
時間通りになんてきたことがない。
「ルフィ!早く残りの肉噛んじまえ!エース!寝るなって!」
「ルフィ、エースおはよう」
サボが引っ張ってきた2人を★が笑って挨拶をする。
「おーおばよー★」
まだ肉の噛み切ってないルフィは肉を飛ばしながら言う。
「汚いルフィ!」
★は慌ててティッシュを取り出す。
「おー……朝か」
「エース!とっくに朝だよ!ってかご飯食べたんでしょ!起きなさいよ!」
寝ぼけているエースに★は背中をバシンと叩く。
「なんだかんだでやっぱりこうなるか……」
サボが言うと★はため息をこぼす。
「走れーーーーー!」
★の掛け声と共に走る4人。
あわただしい、いつもの日常が始まる。
★を挟んで俺とエース、その隣にルフィ。
これが俺たちの立ち位置。
「じゃぁサボ!放課後は?」
「今日はなんもねぇからまた帰り連絡するわ!」
「りょーかいっ」
★とサボが言うとサボはルフィ、★はエースを連れて歩く。
いつも別れるこの道が寂しいと何度思ったことか。
★がエースの隣で歩く。
それを何度悔しいと思ったことか。
サボは小さくなる2人の背中を見ていた。
まだ寝ぼけているエースを叩く★。
「サボ?どうかしたか?」
「なんもねェよ!ほら、早く行くぞ!」
同い年の俺とエースと★。
★を真ん中に俺とエース。
★の隣には俺もいたのに
今はエースが隣にいる。
★は気づいてない。
俺とエースが★の隣をどれだけ望んでいるかなんて。
シャキッとしないルフィを引きずって俺は歩いた。
★が隣に誰を望んでるかなんて、わかってるはずなんだ。
でも、壊さないように、壊さないように……
俺はその隣をまだ失いたくないと思ってしまう。
もう見えなくなった2人の背中を俺はまだ見てしまう。
振り返って俺のとこに戻ってこないかと祈ってしまう。
初恋は、実らない。
prev /
next