短編 | ナノ

現実は夢の中(4/4)


「ん……んー……」

だんだんと覚醒してくる意識と身体。

頭が痛い、のどが渇く

あぁ、お酒飲んだんだ。

なんか幸せな気分。

あぁ、キャプテンの夢を見た。

眠い目をあけると、そこには……

「キャ、キャプテン!?」

ローにしっかりと抱きしめられているとわかったのはその1分後。

夢に違いないと何度も目を閉じて開いたが現状は変わらない。

「もう少し寝かせろ」

「え?え……キャプテン、なんで……」

「ロー」

「へ?」

頭がついて行かずグルグルしている。

「ローだろ」

「は……はい?」

確かにローだ。

我がキャプテンの名はトラファルガー・ローだ。

「呼びたいんだろ?名前」

「へ?……へ!?」

夢だと思って口走った自分の言葉を少しずつ思い出す。

「昨日はしつけェほど呼んでたんだ、もうそれでいい」

あまりのことに★は言葉がでてこない。

口がパクパクしてマンガみたいだと自分でも思った。

どこからが夢でどこからが本当で、今も本当は夢なんじゃないか?

というか、あんなの聞かれてたらきっと……

「ごめんなさい」

「謝ってばっかだな」

嫌われた。

★は少し体を丸めた。

ギュッ、と強くなるローの腕。

「チャンス、ものにしてみろよ」

「……キャプテン?」

「ローだ」

「………え?」

無言で睨まれて★はカラカラの喉から振り絞るように声にした。

「ロ、ロー……さん」

「呼び捨てでいい。俺はまだ寝る。起きてさん付けしてみろ?バラすぞ」

そう言ったローの声色が優しく聞こえて、★はそっとローの背中に腕を回した。

『チャンス、ものにしてみろよ』

諦めたくてもいいってことだよね?

迷惑じゃないってことだよね?

瞼のうらに、いつからか想像することが怖くてやめた、ローと★2人の未来を思い浮かべながら★は眠った。

素敵な夢を見た。

隣にいるローが優しく微笑んでキスをくれる。

2人で笑って寄り添う。

そんな夢を見た。

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