現実は夢の中(2/4)
「……なんか言いたいことでもあんのか」
「いえ、別に」
女が出て行ったあと、甲板にでてきたロー。
ペンギンが思わず睨んでしまっていたのを気づいてかローは眉間にしわを寄せてペンギンに向かって言った。
「どいつもこいつも胸糞わりぃ目で見やがって」
「言いたくても言えない事もあるんですよ」
「なんだそりゃ」
ローは本格的にペンギンを睨んだ。
「今の関係を壊したくない」
「………」
「どいつもこいつも不器用だ」
「テメェ、誰に向かって言いやがってる」
「別にキャプテンだとは言ってません」
ペンギンはローに背を向けた。
せめてもの反逆心。
大切な仲間を傷つける……いや、惚れた女を泣かせる男へ贈ったせめてもの反抗の言葉。
叶わないことは知っているが、せめて笑っていてほしい。
泣いていたら、振り向かせられなかったことの後悔が諦めようと思う想いに負けて★を追い詰める。
だったら笑って幸せだと言って、諦めざる負えなくして欲しい。
身を引いたのは間違いじゃないと、勇気がなかっただけじゃないと少しばかりのプライドを守って欲しい。
ペンギンは背を向けて歩いて止まってローが歩くのを待った。
★の部屋のある方向へローが歩き出すのを聞いて、ペンギンは笑った。
根っから、冷血な人じゃない。
俺が、ついて行こうと決めた人は。
そう思ってペンギンは帽子を深くかぶりなおすと歩き出した。
prev /
next