現実は夢の中(1/4)
「これで何回目だよキャプテン」
シャチが呆れたように言う。
「大丈夫か?★」
ペンギンは隣にいる★に向かってそう言った。
ペンギンが見つめる先にはさっきまで噛みしめていた唇の口角を無理やり上にあげる★の姿だった。
「大丈夫だよ」
そう言った★にペンギンは苦笑いをした。
「覚悟はしてたよ、うちのキャプテン、モッテモテだもん!それに……」
無理して明るい声色にしているのが痛々しい。
「恋人は私、だから」
街に着くたびに女を船に乗せ、行為をするハートの海賊団、キャプテン、トラファルガー・ロー。
その恋人、★はそう言って笑うとその場を後にした。
「★、よく平気でいられるよなー」
シャチの一言にペンギンは眉間にしわを寄せた。
「平気なわけないだろう」
「え・・・?」
ペンギンだけが知っている。
陰で★が泣いていること。
ペンギンは★を探して歩き回る。
「……いた」
うずくまって泣いている小さな影。
その姿が本当に小さく見えてペンギンは少しだけ拳を握った。
「★……」
返事をしない★。
そっとしてほしいのはわかってる。
でも……
「もう1人で泣くな」
「ごめん、ペンギン。大丈夫だから」
「大丈夫じゃないだろ!?」
「大丈夫なの、本当に、大丈夫なんだ」
★は笑った。
綺麗な顔で。
「……わかった」
背を向ける★にペンギンはグッと拳を握った。
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