エープリールフールの嘘
一番近くで愛してる。
番外編。
今日はエープリールフール。
嘘をついてもいい日。
だから私は嘘をつく。
「エース、あのね……私、エースのことが好き……なの」
嘘にしてしまう告白。
でも、一生言わないと思ってたその言葉を言うとなると緊張してしまう。
「★……お前……」
「ごめん、エース……」
嘘だよ、と種明かしをしようとすると……
「俺も……」
「へ?」
「俺も、好きだ……」
「エ、エース……?」
嘘、まさか!
いや、ありえない。
夢だ。
それかエースの悪ふざけだ!
わかってる……わかってるはずなのに……
「★、な?いいだろ?」
……よくねーよ。
ニヤリと笑うその顔がもうひきつってるよ。
なんだか悔しいからそのままついてってやろうかコラ。
「エース……好きに、して?」
「……だーーーーっ!ダメだ!笑う!笑っちまう!!」
「ちょっと可愛かったでしょうが、コラ」
「無理無理無理!俺そんな趣味ねェよ」
人を特殊な人みたいに言うのは止めてほしい。
どんな趣味の人に好かれるんだ私は。
「お前もなー嘘つくならもっとマシな嘘つけよ!」
「アンタも乗っかってんじゃないわよ!」
お返しだバーカと言ったエースは目に涙まで浮かべて笑っている。
「エープリールフール、去年は私、病気なの。だっけ?」
「それはおととし、去年は私、本当は男なの。だよ」
「あー、それちょっと本気にした」
「おい」
わりぃ、わりぃと私のパンチを受けるエース。
「あーあー今回はキャラ捨ててまで頑張ったのになー」
「お前の嘘なんてお見通しなんだよ」
去年もおととしも、その前もいつだってエースは私の嘘を見破ってしまう。
だったら……
この嘘を早く見破って欲しい。
「エープリールフール、失敗か」
「お前抱くとか考えらんねェよ」
エープリールフールは、見事失敗した。
でも成功した。
だって、私の嘘は見破られていない。
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