短編 | ナノ

愛、見つけた(7/9)


「エース!!何してるんだよい!!」

当り散らすエースをマルコが止めに入った。

「なんでもねェよ!!」

「なんでもねェわけねェだろい!!★と何があった!!」

隊長としての責任感は強いこいつの事だ。

きっとすぐ★のとこに行ったんだろう。

マルコはそう思いながら話を続けた。

「頭冷やせよい。お前はあいつの何を見てた?あいつがお前を怒らせるような事するのにはわけがあんだろい」

きっと自分と同じような態度をとられたはずだ。

マルコはそれをわかっていた。

エースはエースなりに隊長として頑張っていた。

隊員に一方的に拒否されたのがショックだったんだろう。

「……わけわかんねェよ」

「焦んなよい。とりあえずお前も、★も、頭冷やせ」

マルコはなんとなくわかっていた。

★が、何をそんなに焦っているのか。

「……部屋もどる」

エースはそう言って落ちているテンガロンハットを取り、自室へと歩いた。






「おっ、エースか!!なんか久しぶりだなぁ!!お前が飯取りに来るなんてよ」

その言葉にエースはサッチを睨んだ。

おーこわっ、とサッチは言ったあとエースの食事を準備し始めた。

「これ、好きなんだって?わりぃな。今日は残りこれだけだ」

確かにそれはエースが好きだと言っていた料理。

いつも★が用意してくれてた皿には山盛りに乗っていた。

「★は誰よりも早くお前の食事取りに来るからな。冷めるかもって2回にわけてきたりするからてんこ盛りだろ?」

愛されてるねーとサッチが言う。

知らなかった。

そんなに早いうちに準備して、気を使っていたなんてわからなかった。

「今日は★の好きなデザートなんだけどな、あいつ飯いらねェってよ」

俺は何も知らない。

あいつの好物も。あいつが早くから俺の飯を用意してくれたことも。

なのにあいつは俺の好きな物を知っていて俺のためを思って用意してくれてる。

俺はあいつの何を見てきたんだろう……。


「エース隊長!!」

いつもは席をとってくれる★がいないため空いてる席が見つからない。

エースが辺りをキョロキョロと見回していると隊員達が声をかけきた。

「★さん、どうですか?」

「あ?あぁ……」

ミントから★の事を聞かれてエースは黙った。

「★具合悪いんすか?」

「そう言えばいねェな」

隊員達が言った言葉に違和感を覚える。

「なぁ‥‥‥コレ、★が好きなんだってよ。お前ら知ってたか?」

俺も、こいつらも、★の何を見てきたんだろう。

どいつもこいつも★の好物を知ってるやつはいなかった。

「でもさすがっすね!!毎日★と飯食ってただけあって、そういうのちゃんとわかってるんすね隊長」

「いや……」

「あいつは自分からなんも言ってくんねーからなー」

「そう言えば★も隊長の好物しっかり把握してたな!!」

「っていうか隊長、マジで★大丈夫なんすか?あいつ熱があるときでも絶対飯の時には来てたのに」

次々と隊員がエースに向かって話しかけてくる。

「熱?」

「めっちゃフラフラで、あいつ。でも飯食えるなら大丈夫かと」

大丈夫じゃねぇよ!!

つーかそれ知らなかったって俺……どんなんだよ……。

隊員がただ事じゃねェと大騒ぎし始めた。

「私、後で★さんのところに……」

「いや、いい。俺が行く」

「……わかりました」

エースはいつもよりもだいぶ少なめな飯を食べて外へ出た。



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