短編 | ナノ

愛、見つけた(2/9)



「おぉ!!★、いいとこにきたな!!紹介しとく」

サッチが★を呼び止めた。

そこにいたのは……

「新人のナース、噂くらいは聞いてるだろい」

その場にいたマルコも★に話しかけた。

「あ、はい。はじめまして……」

「★さん!!はじめまして!!会いたかったんですよ!!」

そういってパァっと笑うその子は本当に天使みたいに可愛くて、思わず女の私でも胸がキュンとした。

「ミントと言います。よろしくお願いしますね!!」

「まだ決まってねェが2番隊の専属ナースになる予定だよい」

「え?」

「よろしく頼むぜ。お前にも後輩ができたって事だ」

サッチは★の肩に手を置いていった。

「よろしくお願いします★さん!!」

キラキラした目で見られたら私は任せて!!としか言えなかった。



任せて、とは言ったものの……

私が出る幕もなくミントさんは隊の中に溶け込んでいた。


「★!!★!!」

「エエエエース隊長!!」

「何ボーッとしてんだ。次、これ頼む」

「あ、ハイ。すみません」

せっせと隊員の検診をしていくミントを見ていた★はボーッとしてしまったらしい。

どうしよう、せっかく話しかけられたんだから、このチャンスを無駄にはできない!!

★は早まる心臓を抑え必死で言葉を考えた。

「あ、あの天気…」

意を決して話しかけようとしたとき……

「エース隊長!!」

「お、ミントか。どうした?」

話しかけられた途端に笑顔になるエース。

それをそばで見ていられなくて思わず★はそっとその場を去った。

「チックが少し熱があったみたいなんです」

「あー……さっき咳き込んでたな」

「ちょっと休ませてあげてください」

「りょーかいっ」


私みたいな下っ端と隊長では接点はあまりない。

だから、さっきみたいに話しかけられることなんかなくて必死でその時間を少しでも長くしようと頑張る。

接点を作ろうと必死で考えたのはせいぜいエース隊長のご飯をとっておくことくらい。

でも、専属ナースともなれば違う。

毎日毎日顔を合わせて、話をして……

いつでも隣にいる。

★はますます焦っていた。

本当は腹黒かった、とかあればよかったけど、

ミントさんは本当にいい子だった。

まるで天使。

自然とその子の周りに人が集まる。

私が半年かけて打ち解けていった仲間たちは3日でその子と打ち解けた。



「なぁ〜ミントちゃぁん俺の怪我も見てよ」

サッチはそう言ってミントに擦り寄る。

それを見ていた★は思わず苦笑いをした。

隊長クラスの人までミントさんの魅力のとりこだ。

「バカ、サッチ!!ミントは俺んとこのナースだぞ!!」

その一言に★は時が止まったかのように思えた。

「なんだよエース、やきもちか?」

サッチがニヤリと笑って言う。

「バっ……!!そんなんじゃねェ!!」

「焦ってんじゃねーか!!男の嫉妬はみっともねェぜー?」

からかうサッチと照れるエース。

明らかにさっきのは独り占めしたい独占欲からでた言葉。

★は思わずその光景から背を向けた。


まだ、決まったわけじゃない。

大丈夫。


言い聞かせるようにして食堂へ向かう★。




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