短編 | ナノ

熱(6/6)



私はベットに腰掛けるエースを後ろから抱きしめた。

「★……?」

「今日、なんであの子と街に行ったの?」

なんどもこみ上げてくる涙を抑えて私は言った。

素直になるには確信がまだ足りない。

「コレ、買いに。女の好きそうなモンなんて知らねぇし俺」

「私・・との約束は?」

ギュッと抱きしめる腕を強くする。

「だから明日…。今日俺のモノにして普通に…で、デートにしてぇなって」

真っ赤になるエースが想像できて思わず嬉しくなる。

「でもエース…あの子の事好き…だったでしょ?」

やっと一番聞きたいことが聞けた。

ちょっとだけ胸が痛い。

でも・・・もう・・

「だぁーっ!!なんで知ってんだよ!!言っとくけど俺とあいつはなんでもないぞ!!俺の片思いだったし!!」

知ってる、と言う私の声は自分でもびっくりするほど不機嫌だった。

それを察してかエースは私の頭をポンと撫でてくれた。

「いつの間にか、俺にはお前しかありえなくなったんだよ」

エースは優しく言うとこっちを向いてキスをしてきた。

「あいつといるとお前妬いてくれるから嬉しくてさ」

あの子と一緒にいた後のエースがご機嫌なのは私が妬いていたからなんだろうか?

そう思うと嬉しいような恥ずかしいような気がしてくる。

そーいや、いつから知ってたんだ?

とエースが聞いてきたので言ってやった。



「私がエースに片思いしてて、眺めるだけだった時から・・だよ」



私の片思いは、両思いに変わった。

あの子を見ていたエースの目は確かに私を見つめていて

あの子に向けていたよりもずっと熱っぽいその視線に

私はいつでも焦がされる。

もう隠すことがなくなった私の視線も

あなたに届く。

熱を帯びたその瞳でいつも私とあなたは惹かれあう。






end


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