女、男(3/8)
終始無言で島についた。
「任務開始だ」
任務・・。
その言葉で少し冷静になる。
女を演じればいい。
「とりあえず街の探索だね」
「あぁ」
私はエースの腕を引き寄せた。
ピッタリとくっついてみる。
「・・行くか」
「うん」
宿を探す振りをして街を探索する。
大きな宿や酒場、遊郭などは後で情報を危機に行こう。
一通り街を歩いて引き戻そうとした時だった。
「っぶね」
歩いている人にぶつかりそうになった肩をエースが抱き寄せた。
「大丈夫か?」
「うん、ありがとう」
「っ・・」
エースは何も言わずにそのまま歩き出した。
さっきより密着する体。
でもきっと照れたりしてはいけない。
歓楽街の女は慣れてなければいけないのだから。
それらしく体を預ける。
しかし思ったよりも歩きづらいし何よりも慣れないヒールが痛い。
地味に痛い。
「足いてぇのか?」
「え?」
「そんな靴履いてっから」
エースは立ち止まった。
「だって・・!っきゃっ!!」
エースは私を抱え上げた。
お姫様だっこ!!
「え、エース!恥ずかしいってば!」
ただでさえ注目される容姿なのにこんなことをすれば目立ってしょうがない。
「黙ってろ」
「おろしてって!」
「黙らねーと口塞ぐぞ」
「・・・」
いやらしく聞こえたのは気のせいだろうか。
とりあえず黙ってみた。
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