短編 | ナノ

君の隣で(9/9)



「俺さー」

「ん?」

「気づいたんだけど」

「なに?」

「今までぜんっぜんそんなちっせぇ男じゃねーと思ってたんだけど」

「うん?」

「めっちゃ嫉妬深いぜ?」

多分、とつけくわえてエースが拗ねるように言った。

いやいやいや可愛い。

「ぷっ・・」

「だー!とりあえずアレな!他のやつに抱きつくなよ!」

「わかってるよ!」

「手もつなぐなよ!」

「ルフィは弟みたいなもんじゃん」

「ルフィでもダメだ!あと、あぁ!笑いかけんな!腹立つから」

「はぁぁ!?」

「で・・」

「・・・?」

「他の奴の前で泣くなよ」

急にトーンが下がった。

「うん・・」

「泣くなら俺んとこにしてくれ」

「わかった・・あ、でも無理かも」

「あぁ?」

「私が泣くのは大抵エースの事だもん。エースが泣かさないって言うなら・・」

「当たり前だろ!もう泣かさねぇよ!」

「じゃぁ大丈夫」

「・・可愛すぎんだろ」

「なんか言った?」

「なんでもねぇ!」


自分でも馬鹿みたいだと思う。

★のことこんなに傷つけて追い込んだくせに

★の事泣かせてるやつが誰かなんて考えたら狂いそうで

泣いてるのを他の奴に見せんのが嫌で

俺以外の奴が涙を止めるのがもっと嫌で・・

あいつが想ってるやつをぶっ飛ばしたくて

俺以外が隣に居る★にどうしようもなく焦って・・。

何が何でも奪い返したいと思った。

格好なんてどうでもよくて

★さえ隣に居ればなんでもよくて

失って初めて気づく★の大切さと

それと同時に気づいた恋心の苦しくて辛い想い。


もう絶対泣かせない。

絶対に辛い想いなんかさせねぇから。

そんでもって思いっきり甘やかして

今まで伝えられなかった分いっぱい愛してるって言うから

だからどうか・・

もう離れないで。

離れるだなんて言ったら

死ぬ気で縋りつくから。


もう、どこにも行くな。


俺のそばにいろよ。


生まれてから、死ぬまで、


俺の隣は★、なんだ。







いつからか当たり前のようにあった私の片思いはようやく実を結んだ。
あまり変わりない関係だけどエースが幸せそうな顔で私を見てくれるから・・
この片思い、辛くてもしてよかった。


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