短編 | ナノ

君の隣で(8/9)



「★・・?」

「・・によ・・」

「★?」

「なによ!馬鹿なんじゃないの!余計なお世話!」

「なっ・・てめっ!」

「なんでわかんないの!?もうたくさん!!」

「★・・!」

暴れだしそうな私をエースが押さえる。

「もうたくさんだよ!エースに傷つけられんの!もう我慢できない!!」

「はぁ!?」

振りほどいたエースの手。

「そうやっていっつもエースは私の事傷つける!!私がその度にどんなに辛かったか!!知らないくせに!」

崩れ落ちる私をエースが受け止めた。

こんなの・・やめて欲しい。

抱きしめられる形になって私は暴れた。

「離して!」

「・・・」

エースは無言で力を強めた。

いくら暴れようとしても叶わない。

いつも喧嘩をしてた。

でもそれが手加減しまくりだったって事に今更ながら気づいた。

「・・・離してよ」

いい加減疲れて抵抗するのをやめた。

「いやだ。離してやんねぇ」

「・・嫌がらせ?」

「だな」

「もういいから、行って」

「・・無理」

「は?」

力を入れていたエースの腕が緩むのがわかった。

そして・・

「★のが大事」

今度は優しく包み込まれた。

「・・エ、エース?」

顔が熱くなるのがわかる。

「ん?」

「何してんの・・」

「なんだろーな。でも離したくねぇんだ」

「・・意味分かんない」

どうでもいい。

このままエースの気まぐれがずっと続いて、ずっとこの腕に抱きしめられればいい。

抱きしめ返せない腕が寂しかった。

「離れてくなよ」

縋るようなエースの声。

「★・・」

言葉と共にエースの掌が私の頭を撫でた。

そして頭を押さえるようにまた力をちょっとだけ入れて抱きしめられた。

思わず抱きしめ返した。

「お前がいねぇと俺、ダメなんだ」

─「お前しかいねぇよ」

その言葉に私はエースをギュッとした。

緩んだ腕に上からふってくる唇に目も閉じずに応えた。

「かわってねぇのな、泣き虫」

エースが涙を拭いてニカッと笑った。

「誰のせいよ」

「俺?」

ニヤニヤしているコイツに蹴りを飛ばしたいけど・・

この雰囲気を壊したくない私が死ぬほど悔しい。

「俺じゃなかったらぶっ飛ばすけどな」

「・・・我儘」

「お前の前だけな」

「いや、サッチとかマルコとか・・」

「男だとなー、お前は特別」

特別。

それだけでニヤニヤする。

「機嫌直ったか」

ポンポンと頭を撫でられもう一度抱きしめられる。

「あーー・・よかったぁ」

声から超ご機嫌なのがわかる。

「・・俺自惚れていーんだよな?」

「・・・今更?」

「ですよねー」

あちこち撫でてすり寄ってくるエース。

こりゃぁ予想以上に甘えん坊だな。

「やっと見つけたって感じ?」

「なんだそれ」

「うん、ピッタリ。俺がずっと欲しかったもん」

エースを見上げればバッチリ目があった。

「好きだ、★」

真面目な顔してカッコよく言うから私はエースの胸に飛び込んだ。

真っ赤な顔を見られたくない。

「照れてんの?★ちゃん」

「うるさい」

「ハイハイ、素直じゃないですねー」

「バカ・・」

「そんなバカが好きなんだろ?」

あーもうムカつく。

「・・好きなんだろ?」

ちょっと本気で言うから

「好きだ!バカ!」

ちょっとだけすり寄ってやった。

「いーの?彼女」

「彼女はお前だろ」

あ、今すっごいキュンとした。

「じゃなくて」

「あー、俺さ・・お前から一緒に居るのやめようって言われてあいつのことすっかり忘れてたんだよな」

「え?」

「自分でもビビるくらいお前のことしか頭になかったんだよ」

だからぜーんぜん、どーでもいい。

そんな事を言うエースに呆れてしまった。

いったい何なんだ、私の嫉妬は。

「なのにお前ルフィと手繋いでるわ泣いてると思ったらゾロと笑ってるわ・・」

エースが燃えそうだ。

「しまいにゃ、なんだよ、アレ」

「アレ?」

「マルコに抱きついてた」

「あっ!!」

今思い出しても恥ずかしい。

マルコなのに!パイナップルなのに!抱きついたよ私!!

「ムカツク」

「え?」

「何顔真っ赤にしてんの」

冷たい目。

それより!

「マルコ!!・・あれ、いない」

すっかり忘れてたマルコ!

そういえばここにいなかったか!?

「とっくにいねぇよ」

「よかった・・抱きつきだけでも恥ずかしいってのに・・」



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