短編 | ナノ

君の隣で(6/9)





「・・ビビった」

★があんな風に泣くなんて初めて見たかもしんねぇ。

小さい頃はピーピー泣いてたくせに今じゃ泣きごと一ついわねぇ。

あんなに小さくなって弱弱しく泣くなんて・・。

走ってく★を見つけて様子がおかしいなんて追いかけてみたはいいものの。

泣いてるとは思わなかった。

で、泣いてる★になんにもできねぇ。

「あぁ・・」

握っている拳に気づいて俺は手を緩めた。

悔しかった。

なんか知らないけど・・

俺にはなんともすることはできなくて。

それでもなんかしてやりたくて躊躇してる間にルフィの友達が近づいてきて思わず隠れた。

なんの躊躇もなく入ってくゾロを俺は睨んでいた。

別に一生関わりたくねぇって言われたわけじゃねぇ。

あいつの想い人に疑われない距離を保てばいいだけで・・。

友達として、そばにいるならいいはずだ。

そう思ってたけど・・

ケロッと笑っている★を見て怒りを覚えた。

隣に居るゾロと楽しそうに笑っていた。

俺がいなくてもあいつは笑うんだ。

いつも俺が泣いてるあいつを慰めてたのに

いつのまにかそれは俺じゃなくなってたんだ。



──ドン

「あ、」

「ごめん!・・あっ」

考えごとをしてたら

元カノが目の前に居て

俺の心がズキンとするのがわかった。

泣きそうな彼女を見て俺は苦笑した。

もう、近寄らねぇよ。



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