短編 | ナノ

君の隣で(5/9)


ビックリして涙が止んだ。

なるほど、驚けばいいのね。

なんて冷静な振りをしても驚きすぎて体が動かない。

涙を拭くとかしなきゃいけないのに・・

見られた・・!?

「・・どこだ、ここ」

その声はなんどか聞いたことがある。

特徴的な低音ボイス。

そしてルフィに聞いたことがある。

天才的な方向音痴。

恐る恐る後ろを振り向けばやっぱりいた、緑頭。

「うおっ!お前・・」

「ぜんぱいに向かって、おまえ・・どか・・」

泣きすぎてところどころおかしい。

「いや、わりぃ。あんた泣いてんのか」

あぁもう突っ込む気になれない。

「・・いいえ、泣いてまぜん」

「そうか」

納得すんのかい。

「内緒ね?」

一応そう言ってみると

「あぁでも・・」

「え?」

「さっきルフィの兄貴がいたけど。見られてたんじゃねーか?」

「エースが!?」

「おぅ」

なんてついてない・・。

「そっか・・」

私は立ち上がるとようやく涙を拭いた。

拭くの忘れてた。

「案内するよ。どこ行きたいの?」

「・・職員室だ」

「うわっ!反対!!しかも階違う!!!っていうか・・!そんな初歩的なとこ!?」

これはもうホント、天才というか神がかってる・・!

「うるせぇ!」

真っ赤にしたマリモくん、もといゾロくんが先頭を切って反対方向に行くから思わず笑った。





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