君の隣で(1/9)
「あーなんでこーなるんだろー」
私の部屋で辛気臭いため息をついてくれるのは私の幼馴染。
かれこれ生まれてからの付き合いだ。
私が超忙しくテスト勉強をしているのに気づかないのか。
そして同じ学年で同じ高校のエースはどうしてテスト勉強をしていないのか。
「なー、聞いてる?」
「聞いてない」
「聞いてんじゃん」
無視。
明日は数学があるんだぞ。
超苦手分野。わかってるでしょ、長い付き合いなんだから。
頭を抱えて数式を覚える。
あーわっかんない。
「この数式間違ってる」
「えっ!?」
「ここはこっち使え。馬鹿か」
同等の学力のくせにコノヤロウ。
なんでわかるんだよ。
「こないだ彼女に教えてもらった。あったまいーからなぁ」
「元・彼女ね」
「うぇっ・・」
カエルがつぶれたみたいな声を出すエース。
今回の彼女の事は相当いれあげてたみたいで大嫌いな勉強も彼女から教えてもらったことならとすんなり入ったらしい。
恋は人をかえるんだね。
凄いわ恋愛マジック。
「お前・・今一番の俺の弱点をコノヤロウ・・」
ヘッドロックをされる私。
ギブ・・ギブギブ!!
「遠慮ってものをしなさいよっ!」
「お前相手にできねーよ」
「しろよ、女だぞ」
「えっ、どこに女?」
「出てけ」
いつものこととはいえちょっとは傷つくんだぞ。
「せっかく教えてやったのに。いーじゃんちょっとくらい」
「かれこれ2時間はいますけど?」
「ケチー」
「は?」
「★のケチンボー。傷ついた幼馴染慰めてくれたっていいじゃんかー」
クッションを抱いて大きな男が拗ねる姿は可愛くない。
むしろキモイ。
「さっきまで慰めてたでしょ」
話聞いて下手にでてりゃぁ同じことなんべんも・・ノロケもまじりブチッときてしまった。
「はぁぁ・・なんで別れるなんて・・あんなに愛し合ってたのに。相性もバッチリ!胸もでけぇし・・お前とはくらべもんに・・おっ!」」
「人と比べんなアホ」
思いっきりそこらへんにあったノートを縦に投げつけてやった。
「なーんでだろー・・」
急にしんみり言うからちょっとあいつのほうを向いてやった。
「そんなに嫌なら別れたくないってすがりつけばいーじゃん」
「それができねーからこうやってお前のとこなんかいるんだろ」
お前のとこなんか?・・ふざけんなよ。
「うじうじすんな!男のくせに!!そんなに大事なもんなら離すなよ!」
バカッ、と私は勉強に戻った。
やってらんない。
ヘタレでアホで打たれ弱い。
こんなやつがなんでモテんだか。
こんなやつに惚れるなんて・・
私も相当なアホだ。
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