短編 | ナノ

確かな愛を君に(5/6)


「エースは海に出るときお前を連れていくか迷ってたんだ」

『今の俺じゃあいつを守れねぇ、だから俺があいつを守れる時がきたら迎えにこようと思う』

エースはそれを告げずに言ってしまった。

彼なりの優しさだった。

『★が幸せならそれでいい』

エースの口癖だった。

『もしあいつが他の幸せ見つけられるならそれが一番いいんだ』

鬼の子の自分のそばで苦労かけるよりずっといい。

『でも俺はあいつが俺を選んでくれるなら・・離せない。どんなに傷つけるとしても無理だ』

海賊の血をひく自分らしいとエースは思った。

奪いたい。

★を巻き込んでしまうとしても。

『でも、あいつの幸せを望めるんならいいんだ。それだけで生きていける。俺はあいつに出会えただけいいんだ』

そんな海賊いない。

宝が目の前にあるのに

そこで輝いてくれればいいなんて・・

そんな優しい海賊・・

『こんな俺を愛してくれた。まだ俺には受け止められるだけの強さはねぇけど・・悔いはねぇ』

知っていてくれた。

★はそれが嬉しかった。

そして受け入れられないと思っていたとしても

通じあえてたという確信が嬉しかった。





「エースの父親の事初めて知ったろ?俺、エースに★にだけは父親の事言うなって言われてた」

そうだ、なぜ私に隠し事をしていたのだろう。

全て受け入れるのに。

それを知っていても私がエースを守るのに。

『かっこわりぃけど・・怖ぇんだ』

エースにも怖いものがあったんだ。

手放したくないもの。

嫌われたくないもの。

自分の幸せを捨ててまで

守りたかった★。

『そんな女じゃないことくらいわかってる。でも・・あー情けねぇな』

自分自身父親の影に怯えていたエース。

父親の事を言うのは自分の気持ちを伝える以上に怖いことだった。

わかっていたとしても怖い。

ロジャーの息子として★に見られるのもいやだ。

『あいつにはまだ影を背負わせねぇで笑ってて欲しい』

俺に自信がついたら、自分で言うから言うんじゃねぇぞ。

と本気で言われた幼かったルフィはその気迫にうんとしか言えなかった。

一人の男の覚悟がそこにあったから。

「ばかね・・エース・・」

もうそれくらいじゃ揺るがないほど愛していたのに。

バカエースって笑ってあげたい。

エースが誰の子だろうと、エースは私が愛したたった一人の男。




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