《勝者はチャンピオン!これで通算××回目の防衛を果たしました!!惜しくも敗れたーー…》

また、終わってしまった。
何も得ることのない戦いを続けてもう何年経った?
数えるのも億劫になる程、俺はずっとひとり、未来を見失って息をしている。

始まりは何だったか、もうあまりよく思い出せない。
ホップが旅に誘ってくれて、ポケモンについて教えてくれて、バトルを教えてくれて、ライバルだと言ってくれて、それで、俺は、チャンピオンになった。
ホップが憧れていた、ホップがなりたかった、チャンピオンに。
いつも追いかけていた背中を、いつの間にか見失って。
ようやく見つけた背中は、もう俺には届かない場所にいた。
これから先も、ずっとライバルだとか、そんなことはどうでもいいんだ。
俺は、ただ、ホップの隣に立ちたかっただけなんだ。
でも、それも、もう無理なら、チャンピオンであり続ければ、いい。
そうすれば、ホップは俺を見てくれる。

「ナマエくん!防衛おめでとう!今日もいい戦いだった!!」
「ありがとうございます、ダンデさん」

ー『最近、ナマエはアニキに似てきたな!チャンピオンらしいぞ!』ー

たとえ、その先で、英雄を見ているとしても。
ほんの少しでも、俺を見てくれるなら、ホップの瞳に映るのなら、俺は何の意味もない栄光に縋り続けられるから。

〈次はいつ来るんだ?楽しみだぞ!〉
〈近いうちに〉

息をしにいくよ。

終止符を打ったのは君じゃないか

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