テレビに映ったアニキと並ぶその姿に、あの頃のような初々しさはどこにも見当たらない。チャンピオンと呼ぶに相応しい堂々とした立ち振る舞いは、どこかアニキに似ている気がした。

たった数年、人はこんなにも変わってしまうのか。

カサリ、と小さな音を立てて崩れた紙の束に目を向ける。自分のあまり綺麗とはいえない字で、ガラル地方に生息するポケモンの生態について綴られ、所々に赤ペンでソニアの訂正が入っている。
あの日、博士になると決めてから勉強の日々。勉強は嫌いじゃないし、色んな発見や驚きがある毎日は楽しくて好きだ。
だけど、それだけなんだ。まだ、博士になってない。
そう簡単に博士になれるわけないって、ちゃんとわかってる。でも、焦らずにはいられないんだ。
だって、ナマエはもう立派なチャンピオンで、ビートやマリィだってジムリーダーという大役をこなしてる。
オレだけ、何も。
ぐしゃりと、握り潰した紙のシワを慌てて伸ばす。紙の端に描かれた少し歪なインテレオンの似顔絵は、数ヶ月前、突然やってきたナマエがオレを待つ間に描いたもので、インテレオンに見せて怒らせていた。
会いたい。
無理だ、ファイナルトーナメントは始まったばかり。でも、会いたい、会いたいんだ。会えなくても、声だけとか。なんでもいいから。おねがい、中途半端なオレをみて、

置いてかないで

3日前に送ったメッセージは未読のまま

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -