「好きだ、付き合ってくれ」

冗談なのか本気なのか、どっちにもとれるような声で、顔で、ナマエが俺を見る。
心臓の脈打つ音が聞こえているような錯覚に、頭がクラクラする。
どうすればいい、何が正解なんだ、わからねぇ。

「…面白ェ冗談だな」

揺れる視界、張り付いた喉から掠れた声で漏れた言葉。

「あははっ、やっぱドフィは騙せねえかあ〜」

ナマエは少し目を開いた後、いつものように笑った。
正解だったようだ。

「フッフッフッ、騙そうとするなんて酷ェ奴だなァ」
「悪りぃ悪りぃ、でも、あのとぼけた顔最高だったぜ」

腹を抱えて笑うナマエの目の端に涙が浮かんでいる。泣くほど笑うなんて本当に酷ェ野郎だ。


数年後、幸せそうに笑うナマエの隣には、純白のドレスを纏い同じく幸せそうに笑う女。

「もう時効だから言うけど、俺、ドフィのこと好きだったんだぜ」
「…俺が不正解だったってか?」
「なんか言ったか?」
「いや…結婚おめでとう」
「!ドフィが素直に祝ってくれるとはな、ありがとよ」
「フッフッフッ、締まらねぇツラしてんじゃねェよ」
「親友に祝ってもらえたんだ、締まらなくもなるだろ!」

何が時効だ。今更答え合わせして、勝手に終わらせてんじゃねェ。
俺たちは、今、始まったばっかりだろうが。なぁ、ナマエ?

人生に正解はない?なら不正解もねえよなあ

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