兄弟の中でも群を抜いて大きい背中を、兄を、ずっと追いかけていた。
兄はどんなものでも欲しいものは奪う、海賊そのものを体現していた。そう、ママにどこまでも似ていた。
俺を含む兄妹は誰もが小さな頃から大好きなおやつを何度も奪われてきた。
悔しくて悲しくて泣くと兄はいつも顔を歪めて、頭を雑に撫で代わりのお菓子をくれる。
だから、兄妹は大きくなった今でも泣き真似をして、兄の不器用な大好きな暖かい手を、幸せな時間を堪能していた、のに。

長い遠征から兄が帰ってきた。
ママへの土産とともに、小さな子供を腕に抱きかかえて。

「ハーッハハマママ、よく帰ったねえ名前。で、そいつはなんだい?」
「俺の子供だ」
「子供だってェ?使えるんだろうね?」
「あぁ、だからここに連れてきた。ママに迷惑かけねえよ」
「マーッマママ!好きにしな!」
「そうさせてもらう」

椅子に座った兄の、膝の上で、少し怯えた表情の小さな子供の頭に、兄の手が乗った。

「心配するな、お前には俺がいる」

今まで聞いたこのない兄の声、雑じゃない、優しい手つき。
兄の目にもう、俺たちは、映っていない。


知らない、しらない、俺たちの、おれの、兄をかえせ。


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面倒くさがりで不器用なC家長男主が大好きだった兄妹がたった1人の子供に全てを奪われた話。
原作もアニメも全然追いついてないので二次創作での知識しかないC家。なんかヤベエという印象。
浅はかな知識の中で、みんな愛されたいとか思ってたらいいなって思って。ハピエンは迎えられそうにない。

愛に飢えてるC家の話

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