落ち着くんだ俺。冷静になって状況を確認するんだ。
昨日、クソほど酒を飲んで泥酔して寝た。そんで奇抜な頭のおっさんにベッドから落とされて目を覚ました。
なんだやればできるじゃねえか俺。これくらいのことで焦ってんじゃねえよ、バカだな。
いや、バカだろ。何がどうなったらおっさんに起こされる状況になるわけ?もしかして家間違えた?いやでもどう見ても俺の部屋だし。え?おっさんが間違えた?ちょっとやめろよ心臓に悪い。
「おい!聞いてんのかよい!」
「は?」
ベッドにいたはずのおっさんがいつの間にか目の前にいて、すごい形相で俺を見下ろしてる。
「てめぇ、どうやって侵入しやがったんだ」
「は?不法侵入してんのはおっさんの方だろ」
「随分とナメた口ききやがるねい。ここがどこだかわかってんだろうな?」
「どこって。俺の家だろ」
「何言ってんだよい。ウチに喧嘩売って無事で帰れるとでも思ってんのかい?」
「いや、おっさんこそマジで何言ってんの?大丈夫?警察呼ぶぞ」
「仲間を呼ぶってんならそれ相応の覚悟しとくんだねい」
「さっきからすっげえ喧嘩腰なの何?久しぶりにキレそう」
何なんだこのおっさん。血が上って余計に頭いてえわクソ。手だしても正当防衛だって言い張れるよな?つか、よく見たらおっさんガタイいいし刺青入ってるし、俺に勝ち目なくね?大人しく警察呼ぼ。どうかひ弱な善良市民をお助けください。
とりあえずポケットからスマホを取り出して電話アプリを起動する。
「何やってんだよい」
「警察呼ぶんだよ」
「どうや……」
何、どうやって。ドヤ顔?突然黙り込んだおっさんに視線向ければ、キョロキョロと部屋を見渡していた。
「………ここ、どこだよい」
「だから、俺の家だって言ってんだろ」
マジこのおっさん大丈夫?救急車を呼んだ方がいい?
何事も人の話をちゃんと聞くことだ