会社帰り、なんとなく全てが嫌になって浴びるほど酒を飲んだ。
久しぶりのアルコールはすぐに吸収されて、思考も視界もぼんやりとおぼつかない。おまけに働かない脳が休ませろとでもいってるのか強い眠気に襲われた。
なんとかタクシーを降りて、部屋の鍵を開け玄関先にへたり込む。もう動くことすら億劫だがこのまま寝たら絶対に後悔するのはわかりきったことで、仕方なく重い腰をあげて寝室へ向かう。
扉を開け放って、そのままベッドへダイブ。
そういえばまだスーツのままだった。皺になったら面倒だ。でももう1ミリも動けそうにない。
目を閉じてしまえばあっさりと意識を手放していた。


もぞりと何かが動く感覚に意識が浮上する。
邪魔すんなよ、まだ眠いんだ。動けないように暖かい何かを抱きしめてもう一度目を閉じる。
ん?
「おい、起きろい」
ドスの効いた男の声が聞こえた気がしたが気のせいだろ。俺は一人暮らしだし、男を持ち帰る趣味は持ち合わせてない。幻聴に決ま、
「起きろっていってんだろい!」
「うっ、いってぇ…っ」
鈍い音ともに床に叩きつけられ、嫌でも目が覚めた。
二日酔いからか、打ち付けたせいか痛む頭を抑えながらベッドに視線を向ければ、俺を睨みつけている奇抜な頭のおっさんがいた。
おい、何がどうなってんだ。泥酔して目が覚めたらおっさんと一夜を共にしてたなんて、嘘だといってくれ。


冗談はよしこちゃん、なんて死語

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -