028 (11/23)

「明日から地区大会が始まる。三年は最後の公式戦だから、気を抜かないように」
「「「はい!」」」

練習後のミーティング。
ベンチメンバーが順番に呼ばれる中、男子のベンチに豹の名前が呼ばれた。
やっぱり豹は中学でもすごいんだな。だってキャプテンも負かしちゃったし。

「次、女子」

続々と先輩たちの名前が呼ばれる中、私には関係ないだろうとぼんやりしていたら。

「一年、ミョウジ」

…え、いま名前を呼ばれた…?

「以上、今日は帰って早く寝なさい」

えっ、えー!わ、私ベンチ入ったの!?

「明日は8時集合、電車賃はいらない。昼食は持ってきなさい。以上、はい解散」
「「「ありがとうございましたー」」」


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「まあ、当たり前さね」
「なにが?」
「俺もナマエも、ベンチ入ったな!」
「そうだね、いいのかな。私なんかで」
「なーに言ってんだべー!」

4人で食卓を囲んだ夕食。豹のお母さんの料理はおいしい。

「ナマエは謙遜好きだな〜」

最後に残していたハンバーグの一口を、豹に奪われた。

「あ、最後の一口だったのに!」

豹の両親がどっと笑った。

「んまんま」
「豹、お箸の持ち方変すぎない?」

子供みたいな豹の箸の持ち方。
日本に来た頃、「二人とも箸ちゃんと使えないとみっともないわよ!」と豹のお母さんに言われ、二人して一生懸命練習した。
一本目は鉛筆握るように持って、二本目は薬指に添えるようにして……動かすのは一本目なんだよね?(合ってるかな)

「こっちのが楽だべ〜」
「お母さん、豹が横着してるよ」
「こら、ちゃんと持ち方教えたでしょ!」
「げ!」

豹は、いいじゃん別に〜、とご飯をかっ込んだ。
お箸を二本揃えて小さい子みたいに握った持ち方は滑稽そのもの。
ちゃんと持った方が楽だと思うんだけどなー。

「ごっそさん〜」
「お皿ちゃんと浸けなさいよ、ヒョウ」
「ナマエ!早く食えっ!上でゲームするべや!」
「こら!ナマエちゃんまだ食べてるでしょうが!」
「ご、ごちそうさまですっ」

明日は公式戦。緊張しちゃうな。
早く寝よう。