どーもどーも!
俺は浪速のスピードスターこと忍足謙也や。
まあ今は朝練に間に合う様に疾走中やけどな。
普通の人間やったら遅刻やけど…浪速のスピードスターをナメるなっちゅー話や!
ダッシュで学校へ向かっとった俺やったけど、不意に小さな騒ぎらしき声が聞こえて思わず足を止める。
辺りを見回すと近くのファーストフード店の前で数人の青年が一人の少女に絡んどるのが見えた。
明らかに女の子は嫌がっとるわ。
「なぁええやろ?学校なんかサボって俺らとデートしようや。」
「せや、カラオケとかどうや?」
アカン、アイツらどう見ても全員不良や。
喧嘩は俺には分が悪い。
そう思って警察を呼ぼうと携帯を出して時、ふと白石と話しとった時の事を思い出す。
〜回想〜
「謙也、お前ホンマにヘタレやな。」
「ちょ、薮から棒になんやねん!」
「せやかて事実やんか。そんなんやったらモテへんで?」
「そんなん言われても…。」
「はー…。男は女を守ってナンボやで?そんなヘタレやったら一生無理やな。」
〜回想終了〜
アカン!
ここで助けな男が廃るわ。
ほんで知られたらまた白石にやいやい言われるわ。
「なぁ、行こうや。」
『っ!触んな!死ね!』
「威勢ええなぁ。強気な子は好みやで。」
アカン、回想しとる間に女の子がピンチや。
男や!男を見せるんや忍足謙也!
「……やめろや。その子嫌がっとるやろ。」
「あぁ?何や兄ちゃん。文句あるんか?」
うーん、やっぱ喧嘩は無理やな。
相手は不良、喧嘩のプロや。
なら、こっちのフィールドで戦うまでや。
「ヒソッ(嬢ちゃん舌噛むなや。)」
『はぁ?』
「浪速のスピードスターに…追い付いてみろやっちゅー話や! 」
『っうゎ!?』
俺は女の子を抱き上げて走り出した。
喧嘩で勝たれへんなら逃げるが勝ちや!
「嬢ちゃん学校何処や?」
『しっ、四天宝寺中っ…ちゅーか姫抱きっ…!』
「何や同じ学校か!ほな行きまっせ!」
「何やアイツ…!速っ…!」
早々に不良を撒いて学校に突っ込む。
よっしゃ、朝練も間に合いそうや。
少女を校門で下ろして彼女と向き合う。
「早う着いてもうたけど大丈夫やったか?」
『あ…大丈夫っスわ…。』
「そらよかったわ。ほな俺朝練行くから、今度からは気ぃ付けや。」
少女に笑いかけてテニスコートへ向かう。
あー、やっぱええことした後は気分がええわ。
でも部室で財前に「にやけ過ぎキモいっすわ」って言われちょっと凹んだわ。
そういやさっきの子財前に似とったな。
まぁ他人の空似やろ。
そんな事をぼんやり考えながら白石達の所へ向かった。
『……ヤバいわ…惚れてもた…。』
さっきの少女がそんな事を呟いていたとは知らずに。
【始まる前の始まり】
(テニスバック持っとったからテニス部やろ)(金髪の王子様…見付けたる)
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