どーも、立海のエースこと切原赤也っす!
今の時間は4時間目の途中ぐらい。
んで今俺がいる場所は学校の裏庭。
あ、今回はサボりじゃないかんな。



今俺のクラスは美術の写生中。
テーマは身近な風景で、範囲は学校の中。
てな訳で意外と良く通ったり過ごしたりする裏庭を俺は写生場所にした。



ぶっちゃけもうとっくに絵は書き終わっていた。
四つ切りの画用紙にはここから見上げた風景、木の枝と青い空が少々荒々しく書いてある(描いて、の方が正しいか?)。






「(絵書き終わったら自由って先生言ってたしなー…。)」






後15分もある授業時間を何に使おうかとその場にゴロリと寝転がる。
と、視界の端に明るい茶色の塊が目に入った。






「……なんだアレ。」






その場所に近付いて少し薄汚れて見えるソレを拾い上げる。
意外と思っていたよりは重くて軽いソレは、






「……女物のウイッグ…?」






ショートカットかボブぐらいの長さのウイッグ、いわゆる鬘。
所々に葉っぱが絡み付いていて少しホラーじみていて怖い。






「なんでこんな所にこんな物落ちて……。」






俺が首を傾げた時、少し離れた茂みからがさがさと物音が聞こえた。



何の音かと思って茂みを覗き込むと琥珀色の目付きの悪い目と視線がぶつかる。
っつうか、






「仁王先輩?」






目の前にいたのはテニス部の先輩で詐欺師と名高い仁王先輩だった。
見事な銀髪(一回地毛なのか聞いたらごまかされた)は茂みの中だと酷く浮いて見える。
仁王先輩はさっきからこちらを見たままピクリとも動かない。
うごかない ただのしかばねのようだ……じゃなくて!






「こんな所で新しい悪戯でもする気っすか『ピヨッ!』…ってちょっと!?」






急に立ち上がったかと思うとあっという間に走り去ってしまった。
何だったんだ一体。
それよりも気になる事が一つ。






「女子の制服着てたような…。」






一瞬あっちの趣味の人かと疑ったけど、相手はあの仁王先輩だ。
多分女子に変装する練習でもしてたんだろう。
寧ろその可能の方が高い気がする。
それか目の錯覚。






「……あ、ウイッグどうしよ。」






【発見、後逃亡。】






(じゃあこのウイッグも仁王先輩のだったのかな)(まぁとりあえず預かっとこう)



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