「仁王君の馬鹿!」



ドンッ!!



ガシャン!!







(あ、俺、死ぬ。)



先日転校してきた少女に屋上に呼び出されたと思ったら、まるでOKされることが前提の様な告白をされた。
可愛い少女だったが、何か得体の知れない気持ち悪さを纏っている。
元々彼女を作る気もなく、その異様な雰囲気を嫌悪した仁王は告白を断った。



そして、






(突き飛ばされた先のフェンスが壊れてる、なんて)






宙に身を投げ出された仁王は、そのまま意識を失った。






――――――……






『――…。おーい。』



「……、!?」






誰かに呼ばれた気がして目を覚ますと、そこは屋上の給水タンクの側だった。






「え、あれ、俺落ち、」



『気のせいじゃないか?』



「!?」






独り言に返事が返ってきたのに驚きそちらを向くと、一人の少女がいた。



盛大に着崩された制服に、短いスカート。
しかし下には太股を半分程隠すほど長いスパッツ。
まだまだ残暑厳しいこの初秋に濃いベージュのカーディガンを着込み、袖を肘までまくっている。
そして何より頭に四つも留められたカラフルなヘアピン。






「ふ、不良?」



『まぁ素行は良くはないね。』



「ち、ちゅーか気のせいじゃなか。俺は確かに屋上から落ちたぜよ。」







少女は仁王の言葉にニヤリと笑った。






『じゃあ、落ちたんじゃないの?知らないけどさ。』






【詐欺師と少女】






(少女は絶句している仁王を置いて立ち去った)(それが物語の幕が開いた瞬間)





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