『あれ、朝に来るなんて珍しいねマサ。』






昨日の城本姫梨がマネージャーになった件でのレギュラーの可笑しさに、仁王は体調が悪くなったと連絡して朝練を休んだ。



実際、今現在かなり気分が悪い。
あの状況を思い出す度、キモチワルくて仕方がない。






「ちょっと、な……。」



『……話、聞こうか?』






昨日なったばかりとはいえ、友達の悩みは聞くものなんだろう?と言う芙蓉。



正直仁王は彼女の発言が有り難かった。
溜め込んでいたら自分まで可笑しくなりそうだったから。






「……C組の転校生がウチ…男子テニス部のマネージャーになったんじゃよ。」



『城本姫梨、かい?』



「!知っとるんか?」



『別口でちょっとね。』






芙蓉が転校生の存在を知っていた事に驚く仁王。
ほとんどずっと屋上に居るらしい彼女が何故転校生を把握しているのだろうか。
仁王の名も知らなかったのに。






『へぇ…。魔女、ね。』



「イメージじゃけどな。でも得体の知れん違和感があるナリ。」






眉を寄せる仁王。



そんな彼の様子に芙蓉はふむ、と相槌を打って先を促す。






『で、マサはどうするつもりなのさ?』



「……とりあえず様子を見るぜよ。」






少し嫌そうに言う仁王に芙蓉は何やら考えるそぶりを見せる。






『魔女かぁ…じゃあ城本サンがどんな感じか教えてくんない?部活でも校内でもいいからさ。』






把握しときたいし、と言う言葉に仁王は頷く。



学校の予鈴のチャイムが鳴り、教室に行こうと立ち上がる仁王より先に屋上を出ていく芙蓉。






「何処行くんじゃ?」



『ちょっと私用が入ったから早退。じゃ頑張ってね。』






【詐欺師の友は、】






(もしもし芙蓉だけど、例の女の子なんだけどさ)(やっぱり相当可笑しそうな感じらしいよ)(で、君はどう思う?情報屋サン?)






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