本日兄である周助の反対(というか駄々?)を押し切って氷帝学園に入学しました不二就也です。
……いや正確には入学式には出てません……だって、





『(電車の路線間違った……。)』






なんと乗ろうとしていた電車ではなく反対方向の電車に乗ってしまったのだ。



別にわざとではない。
当然下見もした。
だが当日になってみると駅が少し改装されていて現在地がわからなくなってしまい、方向を間違えてしまったのだ。



はぁー…、と重い溜め息を吐く。
何だって初日からこんな目に合わなくてはいけないんだ。
今日は厄日か。
そうなんだろう。
それともあれかな、この服装がいけなかったのかな。
自分の姿をちらりと見る。



校章の付いた茶色いブレザーに指定のカッターシャツ、深紅のネクタイに茶色いチェックのズボン。



そう、氷帝学園の男子の制服だ。



俺は氷帝学園で男子テニス部に入る。
入部の条件として体育などでは普通の男子に混ざって同等な位の成績を取らないといけないらしい。
しかし、自分の性格上女だからといって嘗められるのは癪だ。
どうせなら最初から見た目で男だと思わせて置こう。
最悪性別を聞かれなかったからでごまかせるし(性別に関して触れたら教えよう)。
そのために学校の理事長に男子制服の着用許可を得たのである(これに関しては何も反対されなかった。……何故なのさ周助!)。



悶々と考えているとふと後ろの方から、「アカン……とりあえず次で降りな……。」という声が聞こえた。
振り返ってみると、青みがかった黒髪の少年(多分)が窓の方を向いて溜め息を吐いていた。
あ、もしかして同類(路線間違い)かな?
氷帝学園の制服着てるし。



案の定、次の駅で降りて周りを見渡すと先程の少年が反対方向行きの電車に乗り込むのが見えた。
何とか自分も同じ電車に乗り込むと、黒髪少年と目が合う。
……さっきは顔見えなかったけど…何故丸眼鏡?
似合ってるけど他のチョイスはなかったのかな…。






『……フフッ、どうも。』






とりあえず目が合った瞬間ガン見して来たので軽く挨拶しておく。
あ、別に見下した笑いじゃないよ?
この笑い方は周助と共通の癖だ。
多分相手の目にはえらく女っぽい顔と仕種の少年だと映っていることだろう。
男子の制服だし。



片割れと全く同じ造りのこの顔はどちらかと言えば綺麗な顔立ちをしている。
周助は何度も女の子と間違えられてたっけ……。



相手の少年はガン見してしまっていたのに気付いたのか「あ、どうも……。」と返事を返してきた。






『君も氷帝学園の新入生?俺は外部からの編入なんだけど…。』



「……お、おん、俺もやけど…。」



『間違えて逆の電車に乗っちゃってね。これじゃあ入学式早々から遅刻だね。』





ふふ、と笑っていると幾らか他人に対する警戒が解けたのか、少年もはにかみながら苦笑を零した。






「……なぁ、遅刻したモン同士仲良う学校行かへんか?俺は忍足ユーシや。」



『いいね、ちょうど同じ事考えてた。俺は不二就也だよ。』






二人で顔を見合わせて笑い合った。






【迷子から始まる】






(関西弁かっこいいね、大阪から来たの?)(おん、アンタは?)(一応都内だよ。でもちょっと遠いかな。)







ユーシの名前が変換出来ない……だと……?

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