「ってな訳で地区大会お前ジローとダブルス1だから!」
『いや、ジローって誰?』
堂々と委員会をサボって部活へ行った向日に文句の一つでも言ってやろうと思っていたらさっきの一言を告げられた。
……本当にジローって誰?
「あー…そういやジローの事苗字でしか知らないんだっけか…。
ほら、芥川だよ。芥川慈郎。金髪の。」
あ、やっと誰だかわかった。
茶金の髪の芥川君か。
ほとんど朝練に来てないからうろ覚えだけど。
「コートの近くには見当たらねぇから多分どっかで寝てんだろうな…。」
『じゃあ探してくるよ。金髪の彼だよね?』
「そうそう。いってら。」
行ってきます、と告げてとりあえず向日の言っていた手がかりを元に芥川君を探す。
向日曰く、
@、日当たりがいい。
A、静か。
B、寝心地がいい。
この三つの条件が当て嵌まる所によく居るらしい。
一番重要視されるのはBらしいけど。
『……芥川君ー。』
うん、見つからない。
かれこれ30分位探してるけど見つからない。
『……帰っちゃってるのかな?』
ちょっと有り得るかもしれない。
だってこれだけ探しても見つからないし。
でも困った。
地区大会は明後日なんだよね。
流石にたいして知らない人といきなりダブルスを組むのはかなりキツい。
最低一回は合わせておかないと絶対リズムが合わない。
『…木の上とかにいたりしないよね?』
流石にそれはないだろうと思いながらも木に登ってみる。
……やっぱり高い。
でも少し見晴らしがいい為木を枝伝いに飛び移りながら芥川君を探す。
と、その時。
「……オメェ、誰?
天使?」
木の下から、声がした。
【見下ろした先には】
(金髪の彼、やっと見付けた)(でも何で天使?)
珍しく続きます。
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