『あ、テニスコートあったよユーシ!』



「ほんまや。……それにしてもえらい時間かかってしもたな。」






どうも前回盗み聞きやらかした(周助にばれたら怒られるかも)就也です。
うん、実はテニス部の部室を離れてからすでに1時間経っていたりする。
だって氷帝学園は敷地が広すぎるんだもん。
生徒を見付けるのは簡単なんだけどだいたい皆道案内の説明がかなりアバウト。
結局何度も迷ったけどようやく辿り着いて観覧席へ上がる(……何で学校のテニスコートに観覧席が在るんだろうとかは突っ込まない。だってもう疲れた)。



適当な席に座って(勿論隣はユーシ)コートの方を見る。






「ほぉー、なんやオモロい事になってきたなー…。」





息も絶え絶えにコートの周りに倒れるレギュラー達。
先程まで試合をしていた先輩もコート内にぐったりとしゃがみ込む。
対して全員と試合をした跡部君は余裕の表情。
いくら力の差があったとはいえそのテニスの力量に内心拍手を送る。



あ、跡部君に関してはその辺の生徒にちゃんと聞いたよ。やっぱり入学式の王様宣言の子だった。



と、新入生らしき二人が跡部君に試合を申し込んだ。
なんて威勢のいい少年達(ちょっと少女っぽいけど。髪型とか髪型とか髪型とか)。
だけど数球見ただけで力量を直ぐに見極めた跡部君が本気を出したため1対2で試合したにも拘わらず6ー3で跡部君の勝ち。
二人とも悔しそうにしてるけど一年生にしては十分な力量だ。
跡部君が別格過ぎるだけで。



辺りはあまりにも強すぎる跡部君にざわついている。
それにしても凄いテニスの腕だ。
ナルシストでなければ素直に称賛の言葉を挙げるんだけどな。



そんな事を考えていると隣に座っていたユーシが立ち上がる。






『何?ユーシも試合してみたくなった?』



「おん。なんやオモロそうやし。」






ふわりと笑うユーシに同じく笑顔を返す。
ユーシも絶対テニスが強い。
個人の力量ぐらい見れば分かる(まぁ圧倒的不利っぽくても試合は挑むけど。勝てたら嬉しいし)。
強そうな二人の対戦を見逃す手はない。






『俺も着いて行くよ。ユーシ達の試合近くで見たいし。』



「そうか。ほな行こか。」






観覧席の階段を降りて跡部君やテニス部の人達が居るところへ向かう。



あぁ、なんか俺までゾクゾクしてきた。







「ふがいないなぁ……一年に引っ掻き回されて。」



『まぁ純粋に実力の差でしょ。』





【七割の期待と三割の興奮】






(さぁ君達は)(俺にどんな試合を見せてくれるのかな?)

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