竹谷はようやく全てを知ることになった。
兵助の理由を、その想いを。
打ちのめされた。
そして理解した。
出会った頃の兵助は強くて、今もそれは変わっていない。むしろ気が付かない間に、ずっとずっと強くなっていた。それは痛々しくて切なくなる程に。他方、自分は何も変わってはいなかった。そんな兵助にずっと甘えっぱなしだった。けれどもう、自分たちは何時までもあの頃のままでいられない。けじめをつけなければならなかった。それをしないままでは、全ての事にきちんと向き合えないと思った。そうして翌日の昼休みに向かった先は、あの時の木陰だった。今日であれからちょうど十日。そこには一人の女の子がいた。竹谷に気付いたその子がふんわりと笑った。竹谷は覚悟を決め、彼女の正面に立った。


「待たせてごめんね」















もう逃げる理由など何処にもなかった。

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