インターバルが終わる3分前。落ち着いていたギャラリーが再び騒がしく声をあげた。理由は勿論、コートに現れた青ちゃんのオーラのせいだろう。隣の二人も息をのんだのが空気でわかった。
「今度はちょっとマジだね」
「まさか青峰のモチベーションをここまで上げられるとは思いませんでした」
「…誠凛は、やっぱ黒子っち下げるみたいっスね」
「しょうがないよ。黒ちゃんをオールで出すことは出来ないもん」
「しかし、前半青峰抜きの状況でも下げることが出来なかったのを考えると…」
「このメンバーでいつまでやれるかが鍵だね」
青ちゃんも今度はしっかり体を温めてきているし、ぶっちゃけ3分持てばよくやったと誉められる。底の見えない青ちゃんの実力。それをどこまで火神が引き出すか、そしてどれだけ抗えるか。青ちゃんを火神が止められれば、この試合まだどうなるかわからない。
「青ちゃん…今の火神一人じゃ止められないと思うけど」
「……そうっスね。けど、」
「?」
「オレは、火神のあの成長スピードを考えると、何か起きそうな気がするんス」
「希望的観測に過ぎんな」
「わかってるっスよ」
一刀両断にしたみーくんに苦笑しながら、それでもきーちゃんは真剣に火神を捕らえていた。きーちゃんの気持ちもわからなくはない。でも、あたしはそこまで火神を過大評価できないし、逆にそんなに青ちゃんを過小評価もできない。
「いきなり来たな」
「っスね」
ボールは青ちゃんの手の中。対峙するのは、火神。
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