「青峰っち…」
「まったく…気に食わん奴なのだよ」
ギャラリーはさっきの青ちゃんのプレーに騒いでいるが、中学時代一緒にプレイしていたみーくんやきーちゃんは神妙な顔つき。きっとそれはあたしも一緒だろう。
「ノロすぎる。まるでやる気がなかったのだよ」
「多分アップもしてないから、そのせいかも」
「このインターバルで温めたら、後半はもーちょい本気出すんスかね」
「まずアップする気があるのかがわからんがな」
桐皇の監督もやるわよね。青ちゃんだからこその判断なんでしょうけど、少しも体を温めてないプレイヤーをいきなり試合に送り出すなんて。怪我でもしたらどうするつもりなのか。青ちゃんに限ってはありえないだろうけど。
「誠凛は一旦黒子っち下げなきゃいけねーし、3Qで離されなきゃいいんスけど…」
「2年は桃ちゃんのおかげで歯が立たない。唯一の火神には青ちゃん、か」
「正直な話、戦意を失わなければそれだけで称賛に値するのだよ」
ここまでの圧倒的な実力差。さっきの短い時間でも、プレイヤーは十分に感じただろう。リコだって、わかってるはず。でもそこで簡単に諦めちゃったらキセキの世代を倒して日本一になる、なんて馬鹿げた夢を掲げる資格はない。それに何より、誠凛が勝ってくれなきゃ青ちゃんは永遠にあたしにタメ口使うつもりだ。出来ることなら青ちゃんをギャフンと言わせた上で敬語も使わせたい。なんて、動機が不純すぎるか。
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