桐皇ボールで始まった残り31秒。あっちは最初から勝負に出るつもりらしい。

「アイソレーション…!」

「桐皇も粋なことするわよね」

「両チームエースの一対一か」

思わずついたため息と同時に青ちゃんが動いた。技にして言えば簡単。レッグスルーからのクロスオーバー。速いけど、ただそれだけ。端から見ればただのそれだけなのだ。でもそれだけのことに火神は反応できずあっさりと抜かれる。でも仕方ないよ、青ちゃんのチェンジオブペースは神がかりだもの。日向が瞬時に反応してヘルプに行くがそれをものともせずにロールでかわした青ちゃんはその勢いのままにダンクに行く。しかし日向のヘルプで遅れた一瞬…ほんの一瞬のおかげで火神が青ちゃんの手からボールをはたき落とす。

「つか、あの体勢からあそこまでって…!?」

「言いたくはないが、流石なのだよ」

ボールを水戸部が取り、今度は誠凛の速攻。けれどオフェンスを青ちゃん一人に任せていただけあって桐皇の戻りは速い。さらに二年の動きが読まれているとなると攻めの手段はさらに狭くなる。

「うぉ、この距離でイグナイトとかエグくないスか?」

「時間も時間だ、仕方ないだろう」

こちらの迷いなど関係ないように黒ちゃんが至近距離のイグナイトパスを使う。火神も漏らすことなくしっかりとそれを掴み、今度は火神がダンクに向かった。だけど、

「…遅い」

ゴールに叩き付けられる前に、火神の掴んでいたボールは青ちゃんによってはたき落とされる.同時に第2Q終了を告げるブザーが鳴り響き、会場は一気に喧騒を増した。どちらが決めてもおかしくはない展開。でも青ちゃんを止められたからこそ、誠凛はゴールを決めるべきだった。いや、それよりも青ちゃんを止められたその事実に称賛を送るべきか。

「………」

青ちゃん全然本気じゃないけどね。



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