「桃っちスか…。そーいや青峰っちと幼なじみだったっスね」
「その繋がりもあって、桃ちゃんも桐皇に行ってるの」
「へー…。って、ん?あの子たしか黒子っちのこと好きじゃなかったっスか?むしろ本気なんて出せねーんじゃ…」
「そうだったのか?」
「え?」
「はあ!?気付いてなかったんスか!?」
みーくんのまさかの発言にあたしも思わず目を丸くした。どこまでも猪突猛進にアタックしていた桃ちゃんと中学三年間同じ部活で過ごして気付かないなんて、みーくんはどこまで鈍いんだろう。
「毎日アタックしてたじゃないスか!!あれ見て気付かないとか…サルスか!!!」
「なにィ!!サルとはなんなのだよ!!」
「…でもね、きーちゃん。中学の頃からずっと片想いしてたくらいだし、桃ちゃんは黒ちゃんが試合で手を抜かれたくないって考えてることわかってるんだよ」
「その通りです。それに、そもそも形は違えどアイツのバスケに対する姿勢は選手と遜色ない。試合でわざと負けるような、そんなタマではないだろう」
まったくもってみーくんの言う通りだ。その証拠に、火神についているディフェンスは3Pラインより深く守っている。そんなディフェンスに火神も挑発されたのか、迷いなく3Pを放って自分でリバウンドに行こうとした。でも。
「そんなのわかってるよ」
7番にスクリーンアウトされた火神は3Pラインから中に入ることは出来ず、他のメンバーみもみんなスクリーンアウトされて動けない。これじゃオフェンスのチャンスを自ら捨てたも同然だ。
「…これは、まずくないスか?」
「あぁ。桃井のデータが桐皇にインプットされているとすれば、早めに手を打たないと手遅れになるのだよ」
「ううん、大丈夫」
「大丈夫って遊木センパイ…」
「リコはこのまま行く。賭けてもいいよ」
ここで攻め方を変えたりしたら、それこそ敗けを認めたことになっちゃうじゃない。
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