試合開始前に少し歩いて回ったが、きーちゃんの姿は見当たらなかった。けれど今、目の前にいるゴツいサングラスをした緑頭の彼にはよーく見覚えがある。彼は未だに私に気付いていない。

「………。みーくん」

「っ!?な、遊木さん!?」

「おはよ」

何故ここに!?と心底びっくりしているみーくんに挨拶すれば、彼はさっとサングラスをはずした。眼鏡のないみーくんは新鮮だ。

「遊木さんも誠凛を観に来たのですか?」

「うん。みーくん、秀徳の人達と観なくていいの?」

「試合が試合なので」

「…それもそっか」

だって黒ちゃんと青ちゃんの試合だし。そこに期待のバ火神ともなれば気になるのは仕方ない。でも少なからず過去を引きずるであろうこの試合を、現在のチームのメンバーと観るのは何かが違う気がするのだ。

「…あたしも一緒にここで観ていい?」

「構いません」

サングラスをかけ直したみーくんの表情はよく見えないが、嫌がっている気配もないので静かに隣に立つ。そこでようやくアップをしている両校を視界に入れた。

「…青ちゃん、いないね」

「その内来るでしょう」

「……うん」

バ火神…いや、黒ちゃんとの試合だから少しは真剣になっているかと思ったけど、そんなあたしの考えは甘かったらしい。思わず拳を握り締めた。
勝ちなさいよ、誠凛。



.




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -