やっぱり、と言ってしまってはあれだけど、結局リード出来たのは最初だけで後は完全に2軍に押さえられていた。それが当たり前なんだけど、期待していた分少しだけ落胆してしまった。
「中学ではどうだったか知らんが、お前たちは帝光というこの場所で新しいチームと共にやっていくことになるんだ。初心を忘れずに、全国制覇を目標にやっていこう」
みんな、あたしの殺人メニューをやった後に全力で試合をしていたから、息も絶え絶えで返事まで出来ていなかったけど、その瞳にはギラギラと輝くものがあったからこれで挫けて部活を辞めちゃう、なんてことはないと思った。
「みんな、お疲れさま。ドリンクとタオル配るね」
「………」
「………沢井サン」
「なに?」
「レギュラーは、これ以上なんだよな」
「当たり前でしょう」
「……………っあー!!!くそ!!!」
今まで床に伏していた松屋くんが突如声をあげたので肩をびくりと震わせると、彼はグルリと天井を向いた。
「まじで悔しい!!次はぜってー勝つ!!」
「当たり前なのだよ。同じ相手に何度も負けるなど、有り得ん」
「出来ればこのチームがいいね」
「やはり、まずは基礎力の底上げからだな」
「ちょっとちょっと、まだ2軍も主将もいるんだけど」
一応止めはしたものの、彼等から聞こえる声がやむことはなかった。ため息をひとつ。
「沢井サンの作戦に応えられなかった自分がムカつく…」
「「それだよ」」
仁科くんの一言に全員が飛び付いて、これにはびっくりしたどころじゃなかった。
「ほんっとにごめんねー沢井ちん」
「ちんって紫原くん…」
「次はぜってー勝ってやるよ」
「いやだから、」
「期待していればいい」
「……赤司くんまで」
「練習メニューが個々に適切なものだったと言うことは練習のきつさかっているのですよ。これから、よろしくお願いします」
「………1年の練習を見るのはあたしになると思うから、よろしくするのは確実になると思うよ」
なんだか、実力を認めてもらうというのはとてもこそばゆい。選手なんて、マネージャーのことを道具みたいに扱うものだと思ってたのに。
「こちらこそ、これからよろしくね」
はにかむと、全員が笑顔を返してくれた。
「まずは打倒2軍ッスね!」
「後々はレギュラー、なんつって」
いやだから、まだ2軍も主将もいるんだけどね。
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