「遊木!」
「また来たし…」
終わったと思ったのは勘違いだったらしい。相変わらずリコは来た。しかもいつもより瞳が輝いてる気がする。
「聞いて驚きなさい!帝光出身の子――アンタの後輩が入部したわよっ!!」
「………へぇ、そう」
「反応うすっ!何なのよもう、興味に負けて入ってくれるかと思ったのに…」
「ちなみに、誰なの?」
「黒子だよ」
それで相変わらず日向もお引き取りに来ている。苦労するよね、日向も。同情の視線を送れば彼は苦笑していた。
「黒子君に加えて今年はアメリカ帰りの子まで入ったのよ!ソソられるでしょ?マネージャーしたくもなるわよねぇ?」
「黒ちゃん、ね…」
確かに少しは考えない事もない。アメリカ帰りって言うのも気になりはする。
「そうだね、今年は面白くなりそう。あいつも帰って来るみたいだし」
「っ、じゃぁ!」
「だが断る」
「えー!?」
今のは流れ的に入るトコでしょ!?なんで!?なんでなの遊木!アタシの事は遊びだったの!?紛らわしい事言ってんじゃねーよカントク!だって日向君今の流れはっ!
あーもううるさい。お願いだからもう少し静かにしなさいよ。ごめんね我がクラスメイト達。
「とにかく!今日は絶対練習見学に来させるから逃げんじゃないわよ!」
「うんうん、わかった待ってる。だからとりあえずクラス帰りなさい、授業始まってるから」
ほらセンセーが入るに入れなくて困ってるじゃない。フカちゃん引っ込み思案なんだから虐めはやめてよ。
「ヤバッ!日向君帰るわよ!」
「ほんっと毎回毎回ワリィな遊木!」
片手を振りながら走っていく二人に軽く手を振って返せば授業はすぐに始まった。途中廊下からぶつぶつ聞こえて窓を開けてそっと覗いてみればリコと日向が立っててちょっと笑ったのは秘密。
にしても、黒ちゃんと本場仕込みに誠凛2年。ほんとに面白くなりそうね。
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