「お願いします!!!」

審判の笛とともに挨拶をして、みんな指示通りの位置につく。身長の問題もあって、紫原くんがジャンプボールで勝つのは確実だろう。でも、その後にボールを取れるかどうかはわからない。初めて組むチームと1年やってきたチームとじゃ力の差は歴然だし。ボールが審判の手から放たれる。両者が地を蹴る。よし、たぶん、大丈夫。拳を強く握った時、

「あ、」

「…うそ、」

ピッ、と短く、でも十分に動きを止めさせる笛の音が鳴った。まさか、まさか。

「ヴァイオレーション!2軍ボール!」

「やっぱり…」

ジャンプボールでは、審判の投げたボールが最高点に達するまではさわってはいけないというルールがある。…この身長なら確実に勝てると思ったけど、逆にその高すぎる身長が仇になってしまったらしい。

「気にするな、紫原。切り替えるぞ」

「ディフェンス戻ろーぜ!」

早々とディフェンスに戻る赤司くんに続き、先制点取るのは俺等だ、と松谷くんが声をかける。さすが今までゲームメイクを担っていただけある。一瞬で凍った空気が溶けた。

「6番の3P気をつけて!」

ミーティングから言っておいただけあって、6番の宮原先輩がボールを持った時の赤司くんのアタリがきつい。2軍レギュラーチームはまだ勝負に出るつもりはないらしく、まだパスが回っているだけ。

「っち!」

カットを狙ったらしい松谷くんが出てしまったところを7番の中村が切り込む。ヘルプに回った赤司くんにドライブを止められた中村はその勢いのまま、スムーズなパス。もちろんその先にいるのは宮原先輩な訳で、要するにヤバいパターン。

「そー簡単にやらせっかよ!」

「なっ、」

「おら走れ松谷!!」

一瞬、先制点は確実に決められたと思った。が、宮原先輩の手に届く前に青峰がパスカット。そのまま先に走り出していた松谷くんの取りやすい位置にパス…と言うか、ボールを投げた。

「ナイスパス!」

ボールを取った松谷くんは確実にレイアップを決めて、ゾーンの自分の位置に戻ってきた。2軍レギュラーは、まだ動かない。



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