「ちょっとそこの青いの」

いつか勝手に終わるだろうと練習を始めてしまった青い髪を放置していたが、先程のデータをまとめおわってしまっても未だ奴はそこにいた。

「なんだよ」

「帰りたいんだけど」

もうこの際だから敬語がないどころか半端なく生意気口調なのはおいておこう。辺りは陽もとっぷり暮れてしまっているのでとりあえず早く帰りたいのが本音だ。

「帰ればいーじゃん」

「ここの鍵閉め私がしないといけないから君が帰るまで帰れないの」

「オレが閉めとく」

ん、と差し出された手に鍵を乗せれば確かにすぐ終わることだが、そういう訳にもいかない。そんなことしたらマネージャー辞めさせられるし。

「いつまでやるつもりなの?」

「オレの気が済むまでに決まってんだろ」

「君の体育館ではないし、しかも新入生なんだから先輩の言うことは聞きましょう。とゆー訳で、ほら帰るよ」

「やなこった」

ピキーン。
青髪のあんまりな態度に私の堪忍袋の尾もちぎれるギリギリまで引き伸ばされた。

「君がイヤでも関係ないの。鍵閉めるから出て」

「い・や・だ」

「……………そ。わかった」

「最初っからそーやっとけばよかったんじゃねぇかよ」

ほら、と再び差し出された手をはたきおとし、今まで何人に向けてきたかわからない最高の笑顔を青髪にも向けてやる。

「じゃあ私は電気消して戸締まりして帰るから、ここで一夜過ごしてね」

語尾にはーとでもつけそうな勢いで言って、早速青髪の持っていたバスケットボールを奪い取ってかごに戻し、用具倉庫になおして鍵を閉める。呆然としている青髪は放っておいて電気も全部消していき、履いていたバッシュに手を伸ばした時、青髪が不機嫌そうな声をあげた。

「強制終了じゃねーか」

「だって私帰りたいから。でも君はここに残ってもいいんだよ?」

にこやかにいい放つと、青髪は一瞬の空白の後に頭をガシガシとかきながら私と同じようにバッシュに手をかけた。どうやら帰る気になってくれたらしい。よかった。

「なかなか図太ぇな」

「君には負けるよ」

「青峰」

「え?」

「青峰大輝。てか名簿持ってんだからわかるだろ、ふつー」

「顔覚えるの苦手だから」

堂々と答えればため息で返された。なんだコイツ、やっぱ生意気すぎる。うざい。
「明日しごいてやるから楽しみにしときなさい」

「マネージャーがそんな権限持ってる訳ねぇだろ」

「君、私のことなめすぎだから」

「んじゃそんけーするように頑張ってくれよ、沢井サン」

言いながら、彼はさっさと体育館を出ていてしまった。なんだよ、だったらさっきの段階でさっさと帰ってくれればよかったのに。………てか、

「青峰ガチで覚えとけよ」



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もともと主はこんな感じ。年々落ち着いて大人になりました。w
てか青峰がわからなすぎる。




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