「沢井、入部届けだ」

「え?」

「お前だけらしーよ、1年でマネージャー採用されたのは。おめでとな」

「……………っ!やっっったぁぁぁぁぁぁ!!」


一ヶ月前に帝光中学に入学して、仮入部期間から競争率の高い男子バスケ部のマネージャーを立候補していた昨日まで。実際に入部届けをわざわざ主将に手渡された私の感情は、本気で天にも昇るようなものだった。思わず廊下で大きな声を出してしまって恥ずかしい思いはしたけど、これからもあのバスケットを近くで見れるなら、そんな恥ずかしさは一瞬でぶっ飛ぶ。大切な幼馴染みへの報告も忘れずにしっかりやって。

私の素敵すぎる中学生活が幕を開けた瞬間だった。



xxxxx



ピピピ、と規則的に鳴る目覚ましに手を伸ばして音を止める。肌寒い空気の中上半身を勢いよく起こして、一瞬の空白の後に苦笑を浮かべた。

「…夢、か」

まさか学年が上がるからってこんな夢見るなんて。それだけ新入生に期待してるってことなんだろうけど、それにしても舞い上がりすぎじゃないか、自分。
背伸びを1つして、カーテンを開けるために立ち上がる。

さて、新しい部活の始まりだ。



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