黒ちゃんと桃ちゃんが話し終わる頃には、時間はお昼時になっていた。他の部員は勿論筋トレをしていたし、あたしも遠慮なく泳がせてもらっていた。

「遊木さんも来ていたんですね」

「朝から桃ちゃんにデートのお誘い受けちゃったからね」

「誘っちゃった☆」

黒ちゃんに逢えたのがよっぽど嬉しかったのか、桃ちゃんのテンションはまだ高い。最後に黒ちゃんをぎゅーっと抱き締めて桃ちゃんはあたしの手を取った。(その時黒ちゃんをまわりの部員達が羨望の眼差しで見つめ、さらにそんな部員達をリコが殺気の籠もった目で見ていたのは知らないフリをさせてもらう)

「着替えに行きましょ、遊木センパイ!」

「そうだね」

可愛い笑顔につられて笑みを浮かべながら更衣室へ歩き、少ししたところでそう言えばリコは着替えなくていいのかと振り返ったところ、般若の様な顔で部員達にお説教している姿が目に入ったので再びスルーさせていただいた。

「…良かったね、黒ちゃんと話せて」

「え?」

「黒ちゃんの為だからわざわざ逢いに来たんでしょ?」

「………それは、まぁ」

着替えながらなんとなく声をかけると、歯切れの悪い返答が返って来て、地雷を踏んだのかと若干焦る。けれどそう言う訳ではないみたいだ。

「どんなにテツ君の事が好きでも、次は違うのベンチだし…区切りって言うんですかね?自分の中でハッキリさせたかったんで」

「いい事だよ。自分とちゃんと向き合えてるんだから」

「勿論遊木センパイに会いたかったのもありますよ!」

「ふふ、嬉しい事言ってくれるなぁ」

そろそろ出ようか。続けて声をかけると、桃ちゃんは元気良く返事をくれた。…桃ちゃんは強い、なぁ。ちゃんと自分の気持ちをわかってその上で行動してる。逃げてばかりのあたしとは大違い。



あたしも、変わらなきゃ。

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