――入学式翌日。
朝からリコが来なくてうつもの平和に平和が2乗したような日だった。クラスの子達からはとうとう諦めてマネージャーになったの、なんて言われる始末。少し驚きはしたけど、1年に良い子がいたんだろうって期待で上書きしておいた。桃ちゃん並みに使える子がいた、とかね。

「…しっかし来ないと来ないで暇だなー」

そんな事思うあたしって末期なのかも。暇過ぎていつもは学校で扱わない携帯を開いてみればいつもの奴からメールが来ていた。

(病院は携帯弄っちゃ駄目でしょうに)

まー手術も終わってリハビリしてる頃だ。その一環として外に出る事もあるんだろう、と思う事にする。あいつフリーダムだしね。メールの着信時間を見れば今来たばっかりで、もし外にいるんなら出るだろうと思い電話してみれば案の定ワンコールで出た。

「何か用事?…うん、うん。……うん?…まさか、あんたまでマネージャーなれとか言うつもりなの?」

思わず声が低くなる。有り得ない、と口の中で不満を溢せば向こうからは焦った声が聞こえた。

「あたしじゃなくても他の子はいるでしょ。……それはわかってる。っえ?今日?暇だけど。…まぁ、いいよ行ってあげる。てゆーかリハビリさぼってんじゃないわよ」

小さく笑いながら言えば向こうからは苦い声が聞こえて来たのでニヤリと笑った。いい気味ね。

「じゃー午後からまだ授業あるから。うん、学校終わったら行く。うん、じゃーね」

通話が切れて待ち受けに戻ったメインディスプレイを見ながら無意識にため息を溢す。
メールとか電話はしょっちゅうだけど実際に逢うのは1ヶ月ぶりくらいか。てゆーかこいつにまでマネージャーやれって言われたらやる他ない気がして怖い。


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