「さぁ遊木!今日こそはバスケ部に入ってもらうわよ!」
1年の関東大会明けくらいから始まったこれ――バスケ部マネージャー勧誘は2年に上がった今日も今日とて続くらしい。
「入らないから」
「そんな事言わないでお願いっ!今年は後輩も出来るし、やっぱりアタシだけじゃフォロー出来ない事もあると思うの。だから…」
「それ去年は“新設チームだし”だったよね。レパートリーが狭いよ」
「それは、」
「そろそろ諦めろよなーカントク」
言葉に詰まったリコの隣に現れたのはバスケ部主将の日向。どうやらリコを引き取りに来たらしい。
「もう!わかってないのよ日向君は!」
「はいはいその話は何回も聞いたっての。…ワリィな、沢井」
「気にしないで。悔しいけど慣れたわ」
「…苦労が絶えねぇな、お互い」
「まったく」
視線をカチリとあわせて苦笑する。良い意味でも悪い意味でも猪突猛進なリコのフォローをするのは面倒だろう。彼はよくやっていると思う。なんて思っていればチャイムが鳴って。
「おら、行くぞカントク」
「あーもー!!遊木、明日こそ頷いてもらうからねっ!」
負け台詞としか取れない言葉を残して自分のクラスに戻って行く2人を尻目にあたしは欠伸を1つ。このクラスにバスケ部はいないから平和だ。
「てゆーか明日、休みだし」
部活勧誘の人達は知んないけど、一般生徒は普通入学式はお休みです。
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